『時間は存在しない』に感銘を受けつつ、とはいえ人間としての時間認識から逃れることができるわけではないのでパンデミック下の1年は瞬く間に過ぎてやがて年が明ける。大晦日は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読み進めて、巻を措く能わず、しかしまだ読み終わらないうち、2年ぶりに実家に戻ってきているので紅白の途中では坊やがBiSHの出番を教えてくれて、そこだけを確認する。よくできた坊やなのである。やがて日付が変わる頃には遠くに汽笛が聴こえるはずだけれど、その前には寝ているだろう。
この日、沖縄、大阪あたりでは感染確認の増加傾向が顕著となり、正月休暇中の人の移動が増えていることを踏まえると、ほどなく全国でも景色が変わってきそうな段階にある。イギリスでは入院患者の急増が伝えられ、オミクロン株の伝播があまりにも急なので重症化の影響が少ないかのように見えていたのも結局はタイムラグの問題に過ぎなかったということがみえてきた。物理的なキャパシティは指数関数的な増加に対応することが出来ないというのは何も医療機関に限ったことではないので、2022年はさまざまな脆弱性が限界を越える負荷を受けることになるのではないかという暗い予感がある。