もう何度書いたかわからないけれど、『デイ・アフター・トゥモロー』は『インディペンデンス・デイ』と同じローランド=エメリッヒ監督で、デイ繋がりだけに誤解されているところはあるけれど、2004年の時点で温暖化がもたらす気候変動のメカニズムを描き、気の抜けたアドベンチャーパートはあるにして、ディザスタームービーとしては出色の出来だったと思うのである。劇中ではラーセンB棚氷の崩壊を扱っているのだが、ラーセンC棚氷の分解もすすんでいる現在、気候の激変傾向は引き伸ばされた映画のストーリーラインをなぞっているように見える。
この映画で重要な異変の前兆として描かれるのが大西洋の深層循環の変調なのだが、大西洋南北熱塩循環は安定性をほぼ完全に失い終わりに近づいている可能性があるとする新たな研究が投稿されたという記事を読んで震えている。観測データを知る者が口を揃えて起きてはならないという変化が、起きているのである。その影響もまた深く大きく現れていくことになる。