市中感染

この日、オミクロン株の国内における市中感染についての報道が錯綜する。官房長官は空港検疫を経て濃厚接触者が特定されていることをもって市中感染ではないという見解だが、空港検疫をすり抜けて発症していることが事実である以上、市中感染は早晩、拡大するだろう。関連する濃厚接触者が天皇杯サッカーを観戦していたという情報もあって、まず、時間の問題なのだから、現状否認をしている場合ではないのだ。イギリスでは一日の感染確認が8万人近くとなり、これまでの記録を塗り替える。これらが軽症にとどまるという証拠は特にないというのが現在の景色で、仮に入院に至る割合が比較的に低かったとしても、その感染スピードにより医療は圧倒されるだろう。さすがに誰もそのことがわかっていて、現在のところ、状況のやり直し以上に明るい見通しがあるようにはみえない2021年の暮れ。

年末年始の休暇に向けてアンディ=ウィアーの新刊『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、合わせて逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』、ついでにダニエル=カーネマンの『NOISE』を買い求める。ウィアーとカーネマンは上下分冊なので都合5冊、どれも早川書房の近刊なのだが、読書傾向はもともとそんな感じ。『同志少女よ、敵を撃て』から読み始めているのだけれど開巻、大木毅の『独ソ戦』が引用されていて、まず読書というのは網の目のようにつながっていくのである。