2009年のギリシャの財政統計改竄はギリシャ一国の没落に駄目を押しただけでなく、欧州全体の経済危機の引き金となったが、本邦もいよいよ基幹統計の改竄が発覚して、斜陽に拍車をかけるだけでなく、亡国の淵を覗こうかという状況にある。ことは「不適切な取り扱い」などという話ではなく、その方法の指示までともなった省をあげての組織的な改竄であり、タイミングからして「アベノミクス」の一環としてこれが行われたのだから闇が深い。それでなくとも長らくぱっとしない我が国のGDPは不正な水増しをしてなお、この体たらくだったことが明らかになった。発表される数値が国民生活の実感に沿わないといわれるのにも妙な裏付けがとられた格好で、そもそも不明瞭といわれていた統計実態もだいたいこんな感じということだろう。まず、海外の資金が逃避して危機の引き金となることも考えておかねばならぬ。これを亡国の仕業といわずして何なのか。
この日、赤木事件の国家賠償訴訟も請求を認めるかたちで決着となったが、新しい政権は安倍一派の悪行を否定しないことによって自らの権力基盤を強化しているようにみえる。これも権力闘争の一形態であろう。その隠微な過程はそもそも法治国家のあり方ではないし、この悪行のツケは万死を求めたくなるほどに大きくなるだろうから、もちろん責任を追求せずに済ませる話ではないのである。