『日本沈没 希望のひと』を観る。TBSドラマのNetflixでの同時配信は本作からということだが、日曜劇場は日曜劇場であり、世界に打って出ようという雰囲気はちょっとない。小松左京の『日本沈没』は高度成長期の終わりにあって当時の時代の雰囲気に重なったと言われたものだが、このドラマの登場人物は、いまさら日本が経済大国から転落することを心配しているので、そもそも時代感覚はだいぶズレている。物語のスケールからは、もちろんCGによる描写も重要な要素なのだが、「サンデー毎朝」的感覚が全てであって作り込みは相当に適当である。
天変地異の本格化までしばらく地味な展開が続くとみえて、次回予告では今後のダイジェストまで切り出してくる大盤振る舞いだが、ざっと眺めてもういいかという気分になっている。このプロダクションが精一杯ということであれば、日本のテレビドラマでハードSFを題材にするのは避けたほうがいいのではあるまいか。それが『日本沈没』であれば観なければならないと考えてはいたのだが、救いが杏の存在感だけとあっては、いろいろ厳しいと思うのである。