このところ政府分科会の発言をかりて、パンデミックの状況でオリンピックの開催をすることは普通ではないという当たり前の意見が紙面に載るようになったが、政府はオリンピックの開催可否について分科会に諮らない方向だそうである。科学的で合理的な知見というのは、もちろん理論と仮説のモデルにもとづくものであり全てを見通すことを約束するものではないとして、この不確実な世界でよりよい判断を行うには不可欠なものである。政府のこの態度は、つまりオリンピックの開催こそ目的であるということを意味する。
これまで、科学的知見が政策に都合よく歪められる旧ソビエト型の抑圧によって検査抑制論や空気感染否定論が幅を利かせていたと思ったら、今度は「専門家のご意見」すら聞かないのだから、もちろん政権が目指しているのは国益に適う政策の実現というわけではなくて、それを口実にやりたいことやる開発独裁型の強権政治なのである。腐臭がキツ過ぎる。