近視

さきの地震で水位が保てなくなり注水を増している福島第一原子力発電所から、今度はALPS処理水を海洋放出するという。愚行を強行しようというのがどうしてこのタイミングなのか分からないが、分からないだけに何か困ったことが起きているのだろうと邪推している。処理水といえば聞こえはいいが、英語ならcontaminated nuclear power plant waterであって、もちろん汚染水なのである。

震災の特番では原発事故の現場をサンドウィッチマンの二人に取材させていたけれど、ALPS処理水に含まれるトリチウムが国の基準を下回っていることを確認させていて、そこには何重ものごまかしがあるものだから、復興に力を注いでいる人間を利用して、NHKと東電も随分と罪深いことをすると思ったことである。

このALPS waterは取り除くことのできないトリチウムを含有しているばかりでなく、有象無象の核種を含んでいるだろうシロモノで、それを確認していないだけである以上は、風評被害だけでなく実際に起こるであろう汚染の成り行きを知ることは誰にもできない。COVID-19の対応もそうだが、検査をせず見て見ぬふりを基本動作として、愚かな目先の経済合理性で物事をすすめようとするこの国の近視眼的な習性は何なのか。