書けないッ!?

『書けないッ!? ~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』の第3話を観る。引き続き『俺の家の話』も観ていて、あれはあれでいいのだけれど、今や週末の楽しみとしては筆頭にこれが来る。シチュエーションコメディの王道というべき20分ちょっとの尺に、自宅とメンタルクリニックとテレビ局という舞台を盛り込んで毎度、密度の濃い状況を作り出す脚本がいい。画面の隅々まで行き届いて、登場人物が皆、仕事をしている演出もいい。手の抜いたところのない美術もよくて、このまま半年ぐらいやってくれないかと思っている。

京都人の密かな愉しみ Blue修業中 燃える秋

『京都人の密かな愉しみ Blue修業中 燃える秋』を観る。危うく見逃すところだったが、この件については実家から連絡網が回ってくるシステムになっているので放送日時をチェックしてスケジューラーに入れてあったのだ。前作の『祇園さんの来はる夏』の放送が主役交代を乗り越えて2019年の夏だったけれど、新型コロナにも負けず1年半ぶりの新作である。

ドキュメントパートにマスク姿の観光客が窺え、大原千鶴はひとりで料理を作り黙食という演出ではあるけれど、ドラマパートはCOVID-19の影のない地続きの世界観で語られる。京都は洛外の秋もいつものフォーマットで紹介されるのだが、しかし今、彼の地は遠い。

never too late

石原某が無症状で入院の経緯からすると一部の国会議員は正しくPCRの定期的な検査を行い、自民党の職員は全員がPCR検査を行う。我がことであれば至極、真っ当な判断をしていると思うのだが、入国の検疫に精度の著しく劣る国産の抗原検査を用いたり、一方でPCR検査の精度が悪いという事実と異なる話を広めたり、あからさまなダブルスタンダードで国民を害しようというするのは何故なのか。抗原検査の件は忖度による利益誘導が背景にあるとして、PCR検査抑止論についてはその愚かさの由来がよくわからずにいる。山梨では山梨大学の医学部が早くから徹底的な検査を主張して結果、感染の拡大をほぼ押さえ込んでいるといってよい症例数で、隣国ならずとも健闘している自治体はあるのだ。

とはいえ、過ちを改めるに遅すぎるということはない。朝のニュースではNHKが大規模検査が感染拡大を防いでいる例を報じていたけれど、これまで何らかの戦略があったとして、さすがに間違いだったと気付いてもいい頃合いである。

システム

バイデン大統領が就任直後に署名した大統領令には民間運営の刑務所を廃止していくというものがあって、大規模収容施設が時流にあっておらず、さまざまな点で連邦施設に劣るというのは現象として、収容そのものを目的として犯罪者を作り出すインセンティブとして機能し、厳罰化を助長してたことを事実として認定した結果だと理解する。いわゆるシステミック・レイシズムは民営化の顔をして人間をすり潰すわけだが、本邦ではパソナに委託された大阪の生活保護業務が、ひとり廃止ごとに6万円の報酬を得ていたという報道があって、別形態の進化に驚いている。これもまたシステム化された非人間的装置というべきではないのか。

その企業が最高益を報告し、首相が最後は生活保護があるという答弁をするのが日本の現在地なのである。本当におかしな国になった。

ワクチンナショナリズム

秋、そのころはまだ完成が定かではなかったCOVID-19のワクチンの供給を本邦の政府が取り付けたかのような報道があって、そんなとこばかりは羽振りよく、相当に高い買い物をしたに違いないと思っていたのだが、年が明け、まさか正式な契約は進んでいませんでしたという話になろうとは、政府の能力をだいぶ過大に見積もっていたのである。イスラエルがロケットスタートで成し遂げた集団接種などはほとんど偉業というべきだが、見ている現実と温度の差が如実にあらわれている。

年末に、韓国政府が購入契約を結んだワクチンのうち70%近くは来年の秋まで入手できない、したがって次の冬までに集団免疫を形成するのは困難という記事があったのだが、それより出遅れた我が国がこれを超える仕事をできるとは、もちろん期待しないほうがいいというものである。既に欧州では、自国を優先しているように見えるアストロゼネカを締め上げんとする苛立ちが表面化して、ここでも英国対EUの構図となっているけれど、この種の緊張の渦中で本邦がうまく立ち回ることもまた全く想像できない。

そのワクチン自体、素性が分かり切ったものではないのだから、周回遅れで付いていくほうが、あとあとよかったということになるかもしれないというワクチン学の教授の言葉もあったけれど、ハナから逆張りにしか期待できないというのも国家的不幸というものではあるまいか。

Markdownload

そもそもSafariを使っていることもあって、Chromeで拡張機能を利用するという使い方をほとんどしていなかったのだけれど、Markdown形式で記事をテキストファイルにしてくれる機能拡張を使ってみたら実に快適で、参考になったWebページは端からダウンロードして蓄積している。

何しろテキスト形式なので横断検索ができるのが非常に便利だし、Front-matterの記述をしておくと記事にヘッダーを作ってくれるのも気が利いている。タイトルやソースURL、日付まで備わったMarkdownのファイルがアーカイブに並ぶ様子には、それだけが目的化しかねない満足感があってコレクター癖が悪化している。

旅色

2月号の『旅色』に再びガッキーが登場して、「世の中は尊いものであふれている」と尊いことを宣っているので、端から端まで拝見して満ち足りた気分になっている。ライターは相田玲子。連動企画の動画ではガッキーが動いたりして、いや、眼福眼福。

検査数も下がって感染確認も減る月曜日、全体としてどこに向かっていくかも判然としない時間帯に、徹底した検査がどうして行われないのかこれまで不思議だったけれど、検査の抑制を唱える一派は「偽陽性」という概念を持ち出しているそうなので、『マリス博士の奇想天外な人生』を一読することをおすすめする。PCRの原理的なイメージからすると作業上のコンタミ以外の理由で、陰性のひとが陽性に見えるというのはちょっと考えづらい。これは事実であり、演繹的な推論の余地はない。そんな話になっているとは思ってもいなかったのである。