書けないッ!?

この1-3月のドラマはいまいち惹かれるものがなく、上白石萌音は結構、好きだけれど、『プラダを着た悪魔』と『彼女はキレイだった』と『ロマンスは別冊付録』を足して五で割った感じの『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』は初回の中盤で挫折し、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』は劇中の登場人物が観客に語りかけてくる、いわゆる「第4の壁」を超えるメタ技法が馴染んでいるように思えなくて、第1話だけでもういいかなと思っていたのである。

そんななか、そもそも生田斗真が今期のドラマをやっているとは知らなかったのだけれど、TVerで『書けないツ!? ~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』を観て、今クールはこれを最後まで追いかけようと決意したところである。面白い。『俺の話は長い』もよかったけれど、主演の生田斗真が相変わらず最高なのは当然として、そのよさを引き出すシナリオもキャラクターの配置もキャスティングも絶妙で、浜野謙太と「ダルいAP」長井短が好きすぎる。小説家香坂りり子の本棚に『三分の一、黒い』があるのは愛嬌として、全体に美術が優秀なのも好感度が高い。

スパイク

共通テストでは密を避けるため各教室からの段階的な退室が行われた結果、全体ではいつもと変わらぬ群衆となって最寄りの駅に向かう様子がいろいろなところで伝えられていたけれど、合成の結果、個別の努力は水泡に帰すあれこれというのは本邦の得意とするパターンで泣ける。

もはや検査数が圧倒的に足りていない以上、これらの状況が今後の戦況悪化にどの程度、寄与したかは不明のまま終わるとして、無症状感染の広がりはいずれ顕性化して波のような数値の高まりとして認識されるはずである。GOTOの影響がそのように現れたのは12月からこれまでの状況として、あと数ヶ月で変異株の拡大がこれさえ圧倒することになる。

ワタリガラスの予言

チャールズ2世の占い師がロンドン塔のカラスがいなくなると英国が滅びるといった昔から、レイヴンマスターと呼ばれる衛士がこれを養っているそうだけれど、そのうちのMerlinaという名の一羽が行方不明となっているニュースがあって、イギリス人でもないのに不吉さに震えている。6羽いなければならないロンドン塔のワタリガラスのうちでも、Qween of the Tower ravensと目されていたそうである。時節柄、結構なニュースになっていて勉強になる。

ブラジルのマナウスではCOVID-19の蔓延の結果、人口の7割以上が感染して9月の段階で集団免疫の効果が出ているのではないかという論があったくらいだけれど、Brazil P1と呼ばれる変異株により再び感染が拡大し、どうやら抗体が無効化されているのではないかという話になっている。これまで想像していた集団免疫論の帰結通りの状況だが、つまりワクチンでも同じことが起きるということではなかろうか。

Run on

引き続きNetflixで『それでも僕らは走り続ける』を観ている。まぁ、あれだ、韓国ドラマ鑑賞で培った熟練の文脈理解力がなくてもだいたい予想通りという話の運びで、最初からネタを割ったわかりやすいロマンスなのだけれど、イム=シワンの涼しい顔を拝むための70分というか。

COVID-19対応の現場はおそらくひどいことになっていて、大阪では死亡率が大幅に高い状況が続いているうえ、知事が無症状陽性者は感染者ではないみたいなことを口走っている。その論理では死亡率の水準は跳ね上がるが、どうやら公表される感染確認数の多さを自分の通知表と理解しているだけの小者だ。演繹的なロジックすら組み立てられないのでは、仮説をもとに帰納的に現実に対応することなどできるはずもないのである。指揮官の無能によって被害は拡大するだろう。

天デ部

アマプラで『天地創造デザイン部』を観る。Rebuild.fm界隈の課題図書というわけだが、コミックスとほとんど同じ印象で気楽に眺めるにはいい感じ。生物の不思議というのは奥が深くてネタは無尽蔵にありそうだし。

非常事態宣言に7府県が追加され、しかしこれまで既に飲食店の時間短縮が行われている大阪での新たな施策は何かという興味があったのだが、特に何もない様子なのでそのことに驚く。何もない以上、目標とする2月7日までに事態が好転することはないであろう。しかし。

人生最高の贈りもの

TVerで『人生最高の贈りもの』を観る。あらかじめほとんど情報を入れることなく、しかし岡田惠和脚本ということで観て涙したのだけれど、検索してみるとほんの1-2行でネタを割っている作品説明が多くて危ないところだったと思ったことである。どうなんだろ、あれ。

石原さとみ、寺尾聰、向井理、勝地涼、キムラ緑子、角野卓造で登場人物は全てかと思うけれど、行き届いた役者陣にシンプルな筋書きと抑えた語り口がうまく噛み合って、いいものを観たという感じに余韻が残る。正月っぽい。石原さとみのよさは余人をもって代えがたく、脚本家はあてがきしたのだろうと思ったことである。

火眼

1月2日に河北省で確認されたCOVID-19の感染例に即応して9日までに1,025万人が検査を受け354人の陽性者が判明したというニュースがあったけれど、これに使われたPCR検査プラットフォームは設置から運用開始まで21時間、ひとつの実験室で1日およそ100万人の検査ができるモジュールの12棟構成だという話である。「火眼」という厨二呼称がついているのが、らしいといえばらしく、いや、人民政府の本気を示しているけれど、防疫についてはどう考えてもこれが正解で、1日で市民全員の検査を行ったあとは2回目に取り掛かるという話だから徹底しているのである。

ワクチンも含めた集団免疫頼みの対策というのは、結局のところウイルスにヒト感染の選択圧を与え続けるということであり、これまでにその結果として実効再生産数の高い変異株が予想外のスピードで発生しているのは既報の通り。そもそも筋の悪い話だと思うのである。

強力なロックダウンと徹底的な検査を行ってウイルスを制圧するということさえ出来ない国が、21世紀の大国と伍していけるなどと、ネトウヨの妄想もお花畑が過ぎる。同じ頃、本邦の首相は寒くなって飲みに行く人が増えたから感染が拡大したなどと呆けたことを言っているのである。