ヴィンチェンツォ

Netflixで配信の始まった『ヴィンチェンツォ』を観る。最近、『スペース・スウィーパーズ』でも主役をやっていたソン=ジュンギが、イタリアマフィアの顧問弁護士をやっていた流れ者という、ちょっと何をやりたいのかわからない設定の主人公を演じているのだけれど、スタジオドラゴンでNetflix配信作品であれば約束された面白さはあって、早くも続きが気になっている。コミカルなのかシリアスなのか判然としないあたりが心地よい。

第5話

金曜夜『俺の家の話』もいいのだけれど、土曜深夜『書けないッ!?』の第5話がたまらなくいい。残念ながら先週は直前に起きた地震の影響で放送がキャンセルとなってしまったのだが、週末にはこの楽しみがないと締まらない。どの組み合わせの掛け合いも面白いキャラ立ちのよさは異常。DVD BOXが出たら買おう。

COVID-19の新規感染者数の減少は下げ止まりが報告され、自粛疲れにも言及されているけれど、そもそも指数関数的な増加現象がその減少局面において直線的な下降を示すはずはないのである。減少に合わせて検査数も減らしていることが今日の状況をもたらしているともいえようが、その自省がみられないのは一体どうしたことか。

異常

1週間前、福島沖を震源とする地震があったとき、やはりフクイチのモニタリングポストの状況が気になったものだが、この国の首相は特に異常の報告は受けていないという記者へのコメントを、全て正常だということだと言い換えて会見を打ち切ったものである。無論のこと、その狭量さを示したばかりでまともなリーダーの振る舞いとは言えないし、主張自体も論理的に正しくない。

そして今さら、福島第1原子力発電所の1号機および3号機の原子炉格納容器内の水位が低下しているという発表があって、その理由もわからないというのである。1号機は1メートル90センチの水位が40センチから70センチ低下したという話だから、ただごとではない。外部への影響はないという話だが、燃料デブリを直接冷却しているこの水が、意図せず外部に流出している以外の理由はないと思うのだが、とぼけているのか。

爆風消火

本日現在、オリンピックの開催可否について結論が出ていてもおかしくない時期になっていると思うのだが、今さら新会長がどうのという騒ぎになっていて、その病の原因は何ら改まることなく政治家のセクシズム丸出しの発言が相次ぐ。炎上が多すぎて逆に火力が弱くなっているという意見には説得力があって、タンカーを爆発させて火を消す『ファントム無頼』のエピソードを思い出す。そういう鎮火スキームがフィクションとして流行った時期があったのである。

テキサスでは極めて強い寒波によって州内の送電網がダメージを受け停電が相次ぐ事態となっている。エネルギー資源が豊富なこの地での緊急事態であれば、どうして社会インフラに障害が生じたのかを深く考察することには大きな意義があるに違いない。

一方、これについて論じたWSJの社説などは、政治的産物だとしてオバマ政権の再生エネルギー政策を批判した上で古臭いベースロード電源論を展開している。党派的である以上に現実の診断と論理そのものが雑で話にならないと思うのだが、これを鵜呑みにしたTweetが発生して地獄が地獄を生むという状況もあって、生きるというのはなかなか大変なことである。

South of The Circle

ゲームというものに時間を投じる習慣がないので、Apple Oneで利用できるArcadeも使ったことがなかったのだけれど、ちょっと気になっていたSouth of The Circleをダウンロードして、このところコツコツと進めていたのである。とはいえ、ナラティブ・アドベンチャーと紹介されているようにゲーム性はほぼなく、わずかな入力に従い映画のように画面が進行していく。冷戦期の南極とケンブリッジでの思い出を行き来しながら、不可解な状況の謎が明らかになっていくという趣向なのだが、特筆すべきはミニマルで美しい画面と絶妙な演出で、一本の映画に等しい厚みがある。

シナリオをクリアするのに累積すると4時間近くかかっていたようなのだけれど、適度に参画を促すシステムがよくできていて飽きない。まず珍しいことに最後まで堪能したのである。

サブスク

Netflixからメールが来て、3月16日からスタンダードプランの月額料金は170円値上がりして1,490円になるという。自分がスタンダードプランだったことを思い出して、これを機に値段差の縮まったプレミアムプランにアップグレードしようかと考えたくらいだから十分に恩恵は受けてはいるのだが、競争がなければ水位は徐々に上がっていくに違いない。その高い問題意識をもって、競合他社のサービスを利用するのはやぶさかではないのだが、やはりコンテンツも使い勝手も一頭地抜きん出ているわけである。 特にコンテンツに集中的な投資を行なっている戦略は、まったく侮れない。

バブル

2020年通年のGDP速報値が-4.8%とリーマンショック以来のマイナス成長となることが伝えられたこの日、日経平均株価の終値はバブル崩壊から30年ぶりに3万円の大台に到達した。この間、最安値を記録したのがリーマンショックのタイミングだったことを思えば、だいぶおかしなことになっているのは間違いないのである。

米国ではゲームストップの例もあった通り、もはや一番賢いのが市場であると言い切れず、それを認識したからといって正気に戻るわけでもないあたりに現代の閉塞を感じざるを得ない。振れ幅が大きくなるほど、物理の法則に従って衝撃は大きくなるに違いないのだが。