一次接触

考えてみればPCR検査を受けたという報告を直接、聞いたことはなかったのだけれど、緊急事態も2ヶ月になろうかというのに全体としては横ばいの状況にあっては、まだまだ気をつけた方がいいということなのである。突然、仕事がとまって難儀するというのも、まぁ、その通りだ。ゼロコロナを目指して、同時に検査の結果を速く出すという方向がない限り、リードタイムが結果として活動を麻痺させることになる。ここに検査抑制論の動機はあるようだが、結果を考えればやはり愚かな判断と言わなければならない。

一箱

厚生労働省が都道府県の衛生主管部局に出した通知によると、高齢者向けのワクチンは4月の最終週までに市区町村ごと一箱の配布があるそうである。最近、自治体でやっているワクチン接種の予行訓練と同様、極低温輸送の訓練のようなものかと思われる。さらには冷凍庫の故障によって1000回分のワクチンが使えなくなったと重ねて報道されていたりするのだが、どれもこれも必要なスケールに対して絶望的なほどに小さな数字の話なので敗色はいよいよ濃い。

科学技術と兵站の軽視は旧軍の宿痾という言葉があるが、現出しているにはまさにその状況であって笑えない。接種の予行練習を重ね、副反応への対応に頭を悩ませた挙句、玄関先に届けられるのがワクチン一箱とあっては、ガ島のネズミ輸送を想起させるではないか。

ヴィンチェンツォ

Netflixで『ヴィンチェンツォ』の第4話を観る。第一部完という雰囲気の展開回で、オペラをBGMに大仰な演出が続くのだが、力技で馴染ませているという按配で見応えがある。これを邦画でやれば完全な茶番となるところがプロダクションの実力の差であって、今やそこには天と地ほどのひらきがある。これを毎週3時間近い尺でオンエアしているのである。

配信には20話までの予定があるみたいなのだけれど、いったいどこに向かっていくのか。わりと律儀に伏線の回収をしながら進む好みの語り口なので、しばらく楽しみに出来そうである。