反改憲

憲法記念日の今日、報道機関は世論調査では改憲の必要を認める国民が半数近くにのぼるという見出しで改憲の雰囲気を醸成しようとしている様子だが、その実、大方の国民はそんなことはどうでもいいと思っているというのに、いったい何を狙ってのことなのか。コロナ対策に絡めた緊急事態条項の創設など意味不明だが、これまで「日本モデル」だの「大阪モデル」だので事態にうまく対応しているなどと強弁してきた連中が、私権制限を語るときだけ困難を訴えるのは何故なのか。斯様に無能な連中は即刻、職を辞するがいい。勉強代を払っているうちに国が滅ぶ。

同じ口がGOTOを推進しながら、足もとでは移動の自粛を唱えるのと同様、論理的な一貫性を持ち合わせない輩がそもそも憲法を論じようというのが間違いだし、憲法尊重擁護義務を蔑ろにする政治家をきちんと批判しない報道機関も間違っている。まずはこれを正すところから始めなければならぬ。

今ここにある危機とぼくの好感度について

『今ここにある危機とぼくの好感度について』を観る。渡辺あや脚本によるNHKの土曜ドラマ。大学を舞台にして、第2話までは論文の不正告発と当局による隠蔽というシリアスな題材を扱っているし、「今はやりの権力者による言葉の拡大解釈や読み替えと同じであり大変危険」「読み替えとはつまり意味の捏造」というセリフを滑り込ませる脚本家の意図は明確だけれど、狂言回しの主人公のいわゆるノンポリ的態度が喜劇性を際立たせて面白い。そのユーモアもさることながら、板挟みにあって倒れていく人たちを労るように物語は編まれていて、同じ渡辺あや脚本の『ワンダーウォール』に通底する静かな痛みがある。鈴木杏がまず最高にいい。

聖火リレーはどうやら引き続き行われているらしいのだが、沖縄からは白いテントの幕で囲まれた無人の駐車場を数名のランナーが聖火を運ぶ異様な遠景が伝えられ、このイベント自体が既に穢れそのものであるということを知る。北海道では過去最多の新規感染を確認したのだが、5日にマラソンのテスト大会を控え、剣ヶ峰にあって思考停止の状況にあると見える。

辞書

愛用している物書堂の辞書アプリがBig Surのアップデートに合わせてmac OS対応となり、かくあれかしと望んでいた環境が実現する。コンテンツの辞書はそのまま使える剛気な仕様で、まず辞書環境としてこれ以上のものはない。PopClipで使えるようにExtensionも作ったので非常に便利。iOSのアプリをmac OSでも動かすことができるCatalystの恩恵をこれまで感じたことはなかったのだが、全てはこのためにあったのである。

5月に入っても感染拡大の傾向は止まらず、ことに関西では医療崩壊が現実化しているが、国は国で1年前から言われていた医療崩壊への打ち手を一切、持ち合わせていないことが明らかになっている。

ことに大阪は検査か、あるいは医療実務の限界によって新規感染確認が1,200人程度で高止まりし、死者数だけが積み上がる。隣県の増加傾向を踏まえれば、実態は見えているよりも高いところにあるだろう。流行の中心が変異株に置き換わっているにもかかわらず、大型連休の人流は例年の3割減、昨年と比較して4割増というイメージのようだから、休み明けにはこの状況が地方にも伝播することになる。オリンピック開催には明確に反対の立場だが、これを強行できるくらいならまだしもで、残念ながらそのようなことにはならない。