フィアー・ストリート PART2 1978

『フィアー・ストリート PART2 1978』を観る。ショッピングモールが舞台となったPART1に続き、サマーキャンプの虐殺をテーマにした第二部。過去に遡って因縁を明らかにしていこうというスティーブン=キング的趣向で、画面は暗いけれど、やるべきことには概ね取り組んでいるみたい。ジャンルそのものへの愛が主題となるのはそのジャンルの衰退の証であると宇野常寛は言っていたけれど、PART3でどこに辿り着くのかは見極める必要がある。

TVerで『お耳に合いましたら。』を観る。テレビ東京深夜枠で松本荘史監督、主演が伊藤万理華というだけでも、しばらく観てみようかと思っている。ファーストフード全般を「チェンメシ」と概念化しようという企みは少しうるさいが、ポッドキャスト愛好家としてはこれを題材にしているあたりを評価している。

おかえりモネ

第8週まで来た『おかえりモネ』を引き続き観ている。朝ドラというより、夜のしじまに聴く静かな音楽のイメージで実際、アン=サリーや坂本美雨のボーカルによる楽曲がうまく使われているので、その輪郭を強く感じる名場面が多い。高木正勝によるサントラは3枚構成の大作なのだが、聴きどころが詰まっている。『あなたの愛や夢や冒険』『天と手』といった曲がバックグラウンドに入ってくる演出がこのドラマのよさというものではあるまいか。

感傷謳歌

そして東京は4回目の非常事態宣言に入る。歴史に残る大会にしたいというのが首相の希望らしいが、この状況で開催されるオリンピックは愚かさの証として間違いなく歴史に残るであろう。「感染リスクゼロ」の国立競技場1万人も無観客に方針転換とあって、あらゆる御託の嘘が語るに落ちていくのは当然としても、今後の感染爆発がもたらす医療崩壊こそ対処すべき現実であり、他はない。いつまで寝ぼけたことを言っているのか。

PEDROの『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』のMVがYouTubeにあって、『感傷謳歌』にのせた映像に感動している。人間の成長を実感できる機会は少ないが、アユニDは間違いなく成長しているのである。

メメントモリ

地方都市のことだから通勤の大部分は高速道路であり、混雑というほどの密度もないのでほぼ快適なドライブとなるのだが、今朝はインターチェンジから本線に入った途端、対向車線の軽自動車がスピンをしつつタイヤから白煙をあげているシーンに出くわして肝を冷やす。もう何年も使っている道ではあるけれど、そうしたショッキングなシーンに出くわしたことはほぼなかったのである。以前、雪道を滑ってきて、正面衝突を避けた拍子に路肩のミラー柱に突っ込んでいった車のことを思い出す。死はすぐ近くにいるのだが、この度については、どうやら事故というほどのものにはならなかったようなのが不幸中の幸い。

五輪をめぐる状況は混沌として、原子力と感染症という二つの緊急事態宣言下でのオリンピック開催というある意味で歴史的な状況を迎えつつある。これこそ、茹でガエルとなった日本の現在地ということか。

卑劣漢

モデルナのワクチンの供給が1/3に減るという話はゴールデンウィーク前に決まっていたという。都議選を控え、そしてオリンピック中止論が勢いづくという理由でこれを伏せていたという観測には説得力がある。その状況を知りつつ自らの接種は済ませ、見通しのない職域接種をすすめ、自治体を恫喝したりなどと、まともな人間であればできることではないだろうが、この国ではそんな輩ばかりが幅を利かせているのである。

そうまでしたオリンピックは、1年遅れにもかかわらずその準備の杜撰さが海外から伝えられ、通常準備にもクレームが出るくらいだから感染対策などほぼ機能していないに違いなく、その見方を裏付ける傍証ばかりが積み上がる。そうはいっても仕事はきっちりこなすという日本神話の、東京オリンピックは掉尾を飾る大惨事となるのではなかろうか。

夜郎自大

矢作俊彦ならぴったりの文脈で使いこなすのだろうが、夜郎自大という言葉はスケールが大きいだけに使いどころが難しいと思っていたのである。しかし、すっかり没落国家となった本邦の現在にあっては、むしろ言葉本来の意味で使えそうな場面が多くて、もう何といったらいいか。地球規模で恥をさらす河野太郎の英語Tweetに加え、麻生太郎は日本のコロナ対応が「先進国でもっともうまくいっている」と言っているそうである。漢時代の夜郎の精神性というのも、まぁ、こうであったには違いない。

ワクチンの接種がいち早く進んだイスラエルで、ワクチンの有効性が94%から64%に低下したというニュースがある。デルタ株の感染拡大と規制緩和の影響ということだが、してみると大規模治験において確認されたワクチンの効果には行動規制の効果があらかじめ算入されているということになり、そうであるとも言えそうだが、どうだろう。mRNAもインフルエンザワクチンと同水準の効果ということであれば、重症化の予防効果はあるとしてワクチンだけでこの厄介な病を抑え込むには無理があるということになる。

第8日の夜

Netflixで『第8日の夜』を観る。『スタートアップ』でハン=ジピョンの少年時代役をやっていたナム=ダルムが主役級で出演している。彼のフィルモグラフィーをみると相当な大物子役で、少年時代役のキャリアがずらりと並んでいるのだけれど、いよいよ当人でキャスティングされるようになってきたということであろう。無言の行に取り組むけれど、どこか煩悩を断つことができない若い僧という役回りがよく合っている。一方、トマホークと数珠をもつ僧兵イ=ソンミンもさすが茶番にならない存在感で、全体に雰囲気が重要な伝奇スリラーだけれど、整った演出と相俟ってそれなりに成立している。悪くない。

都民ではないが、都議会議員選挙は関心を持ってみていて、秋の総選挙への流れから言えばそれほど悪くない結果となりそうだけれど、無論のこと投票率をもう少し上げないことには、基盤的な支持層をもつ既存勢力を脅かすに力が足りない。棄権や白票はつまり与党への政治的支持を表明する構造になっていることに全ての国民が自覚的であるべきなのである。