フィアー・ストリート PART1 1997

Netflixで『フィアー・ストリート PART1 1997』を観る。冒頭、骸骨のマスクを被った殺人鬼が現れるあたりは、そのまま『スクリーム』で、かつての三部作を堪能した世代としては大いに盛り上がる。いや、ジャンルがホラーだということは知らなかったのだが。モデムを使ったインターネットチャットというあたりの小道具もイカしていて、往年を舞台としたNetflixのオリジナルドラマは美術が最高だと思うのだが、PART2から3にかけて時代を遡っていく趣向のようだから期待は高まる。物語的なヒキも十分であろう。

例によって、という調子なのでそれだけでも末世というべきだが、オリンピックに反対しているのは反日と、前総理大臣がネトウヨ同然の言説で怪気炎を上げて恥じず、ワクチンと一時給付金には政権の恣意的な運用の疑いがついてまわり、沖縄では検査抑制派の医療顧問が「メディアをコントロールしている」という自覚なき自白メールが県から発信され、新規感染者の増加傾向にもかかわらず何故か検査数は減少。

1日だけでもこのニュースフローだが、物事は原因から正さねばならないとの言葉通り、人界のことは政治を矯正すれば、だいたい現状よりいい方向に向かう目処が立つと思うのである。まずは投票行動が必要で、気候変動に対応を取ることができる状況を生み出すのなら、もしかしたら大雨ですらそれが解決の端緒になるだろう。

トゥモロー・ウォー

『トゥモロー・ウォー』を観る。サッカーのピッチに突如、現れた一群の兵士が、異生物との未来の闘いへの参戦を訴えるという強引な設定のSF映画。COVID-19の影響でパラマウントからAmazonに売却されたという経緯があって、もちろんスケールはフルサイズの劇場映画で見応えがある。

子孫のために戦えるかというテーゼは気候変動問題を暗示しているのだろうと察しはつくのだが、ストーリーは思わぬ方向にすすみ、しかし細かい伏線をきちんと回収するスタイルは古き良きハリウッドスタイルの脚本で、ちょっと懐かしい気さえしたものである。もちろん、細かいことは言いっこなしとして。

免疫の負債

ワクチンで先行したイスラエルも英国も再び入院者数が増えているというデータからは、結局のところワクチンだけでこの疫病を抑え込むことがいかに困難かわかる。カリフォルニアでも屋内のマスク着用が再び奨励されるようになったとあっては、途方に暮れる2021年下半期の始まり。しかしヨーロッパはサッカーの喧騒を見て、これは大丈夫なのかと思っていたのだけれど、やはり大丈夫ではなかったというわけである。

ちょっと前から言われていたことではあるけれど、人々の接触が少なくなり、コロナウイルスだけではなくあらゆるウイルスへの暴露が抑制された結果、免疫強化をもたらすブースター効果が途絶え、活動の再開にともなって他の感染症が流行するという「免疫の負債」についての記事がWSJに載っていて、これもまた実に理に適った話で自然の摂理とはこのようなことを言うのだろうと思う。