シンクロ

この日、大陸側から九州に接近し温帯低気圧に変わると見られていた台風14号が、週末にかけて台風のまま西日本に上陸するという予想が伝えられる。もともと降雨量の増加が心配されていたけれど、想像以上に発達した台風のパワーが減衰想定を上回って列島を横切ることになるので連休に向けて警戒が必要なのは当然として目下、『おかえりモネ』でも列島への台風接近が語られていたところなので既視感が強い。まして、NHKのニュースは朝岡覚と同じく「リードタイム」をうまく活用したいと呼びかけるので、これは意図的に寄せていると思う。

優れた脚本家は連ドラで現実を呼び寄せることがあって、野木亜紀子ではたびたび経験したものだけれど、安達奈緒子もまた同じ引きの強さを持っているに違いないのである。現実を象るのは物語であるからには。少し前、同じドラマのなかで降雨による土砂災害が扱われていたけれど、当地ではあまり時を置かず、避難指示のサイレンが鳴り響いていたのである。

RC

iPadOS 15もいよいよリリース候補版が配信されて、来週の火曜日には正式版となるようである。ここしばらくベータ版を使ってきたのだけれど、こちらの使い方だと実装された新機能はほとんど出る幕がなくて、自分がベータを使っていることすら忘れてしまう。Split Viewの新しい使い方すら、これまでほぼ試すことなく過ごしているのである。そのぶん、ベータなりの不具合も検出しておらず、今回は冒険なしのアップデートになりそう。以前、書いたことがあるけれど、ブックアプリの表示にノドアキが復活している点がいちばん嬉しいという慎ましさである。

各地の感染確認がさすがに減っているなかで、当地は県内でも多い部類になっていて、聞けば学校を中心にクラスターが発生して、そういえば通学の児童も見ない状況である。しかし、そのあたりはアナウンスもなく極めてひっそりと進行していて、この一地域ですら事態はよくわからないことになっている。

iPhone 13

この日の深夜、今年のiPhoneが発表される。半導体の市況が逼迫していることもあって、買い手の交渉力は最強であろうAppleであっても価格転嫁は避けられないのではないかと見られていたわり、ストレージの最低レンジを切り上げたことで性能で見ると実質的に影響を吸収する価格ラインナップとなっている。このあたりの懐の奥行きはさすがというべきで、強靭性を持つとはこのようなことを言うのであろう。

そのプロモーション動画は、もちろん電話でもインターネット端末としての機能でもなく、ほとんどカメラだけがフィーチャーされており、それでもマクロ撮影とシネマティック動画という欠けていたピースがピッタリと収まる商品企画で、積み重ねてきたリソースの強みをユーザーニーズに集中させる振る舞いの完成度の高さに今年も感心する。

ユーザーのやりたいことを追求しているという点で極北といえ、ここまで突き詰めてあるがゆえに、来年はファームファクターの更新で見た目を変えてくるという観測にも説得力がある。などとつらつら考えるのも、いや、そろそろ買い替えようかと思っているからである。

月曜日

『おかえりモネ』からの『海街チャチャチャ』第6話。週明けの憂鬱も、こうした楽しみがあれば何のことはないのである。『海街』は醤油顔のセカンドリードが登場する王道の展開で、視聴者の期待を裏切らない。

この日、8月の変死のうち250人がCOVID-19に感染していたというニュースが流れる。内訳には10代も含まれているということに驚くが、死んでから発見されたひとたちの詳しい経緯はほぼ明らかにされず、このまま歴史に埋没していきかねないのがこの国の習性で、これではまったく浮かばれない。これとは桁の違うひとたちが自宅に放置されて、死の淵を彷徨って辛くも生還しているのだが、これほど犠牲が積み上がっても、見かけの感染者が減っているというのが手柄のように語られるのであれば、その意図は邪悪である。

賢い医師生活

『海街チャチャチャ』の第5話を観て、ホン班長の数学オリンピックで優勝というエピソードに笑い、自動運転車はまだなのかというセリフに喜んだものである。『スタートアップ』のファンサービスをきっちり仕掛けてくるあたり、好感が持てる。

今週末はそれで満足だったのだけれど、つい『賢い医師生活』を観始めてしまう。プラスのついていないシーズン1。セカンドシーズンが作られるくらいだから、もとから評判がいいのは知っていたけれど以前、第1話の冒頭を観て、財閥の後継をめぐるゴタゴタの話かと身構えて保留としていたのである。実のところそのエピソードはレッドヘリングで、先入観の外し方も洗練されていて気が利いている。面白い。

ブラタモリ 松本

もちろん正座して『ブラタモリ』の松本回を観る。松本城は一応、中にも入れるようになっているのだけれど、その建物には目もくれず、堀と複合扇状地、善光寺街道、糸魚川-静岡構造線活断層帯で松本を語り尽くそうというのは『ブラタモリ』にしかできない趣向で、諏訪に続き神回。結局のところ糸静線に全てが帰着するというのは前回と同じネタではあるけれど、そもそも構造というのはそういうものであろう。

個人の興味としては、戦いにおいて歴史の表舞台に立ったことがないわりに、やけに立派な面構えの城郭であるのが不思議だったのだが、交通の要衝ではあっても戦略的な均衡点ではない立地と平城ならではの増改築の容易さの結果としての歴史的蓄積なのだと考えればちょっと腑に落ちる。

10月ドラマ

『おかえりモネ』の放映は10月末まで、『海街チャチャチャ』も10月には配信完了ということがわかっているので、10月改編を中心にめぼしい後継がないかと思っている。

昨年、制作発表と同時に世の中を震撼させた『日本沈没』は「希望のひと」という副題がついていて、やはりファン層の動揺は故なきことでもなかったのではないかという気になっている。谷甲州による小説『日本沈没 第二部』でさえ、ちょっと方向が違うのではないかと思っている頑なさは措くとして、物語の帰結はシベリア鉄道であり、希望などないというのがベースラインであるはずである。生ぬるい「人間ドラマ」にならないことを祈るばかりだが、香川照之がどうやら田所博士という斬新さにまず震えている。

TBS火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』は偽装結婚テーマのラブコメで、筋書きからは合成怪獣っぽさもないわけではないけれど、清野菜名と坂口健太郎というキャスティング一点で、ちょっと見てみようかという気になっている。演出に金子文紀がいる限り、大外れということはないはずである。