ジョーカー

この日、これまでの歴史的な議論をなぎ倒して行き掛けの駄賃とばかり、教科書の表現に訂正させんとする閣議決定を政権が行なったというニュースが伝えられる。独裁政権としての振る舞いに遠慮がなくなって久しい。恥を知れ。

同じタイミングで自民党総裁選挙に立候補するメンツが出揃い、もちろん党員ではないとしても避けがたく甚大な影響を受ける国民としては、この選択肢から一人という状況に言うまでもなく絶望している。

このところ配信のニュースで使われる高市早苗議員の写真を見るたび、ジョーカーに似ていると思って、さすがに他にないのかという意見だったのだが、歳若く議員となって、かつては主流派の老人たちを厳しく評していた当人が、今となっては最悪のネトウヨと堕している闇の深さを考えると実際、この写真こそこの人間の本性を表していると言えるのではあるまいかと考えを改める。

延長

この日、COVID-19の感染拡大による緊急事態宣言について、19の都道府県で9月30日までの延長が決まる。発出に際しては必ず収束させることを約束するが、その都度、減少時の底が切り上がっていく状況だから、実際のところちょっとやそっとでは減っていくことのない蔓延状態にある。その状態からの指数関数的増加は何度でも再現するだろうし、減少は次第に難しく、常に上昇圧力を感じるような経過となって、まさに忍耐が試される。2021年はほとんどをCOVID-19の緊急事態宣言下で過ごすことになるということではあるまいか。だいたい、原子力緊急事態宣言はこの10年以上、発令しっぱなしなのだから、ゆでガエル耐性だけはあるのだ。

ひさびさに仕事が積み上がってきて、認知の狭窄を感じている。それが行政機能であったとして、官僚機構をボトムレベルからうまく機能させることなしに何ごとも成し遂げることはできないだろう。官邸支配というのはそこに全く寄与せず、この国の凋落の大きな原因となっているに違いない。

曲がりなり

副総理たる財務大臣が本邦のコロナは曲がりなりにも収束したと言ったそうである。いろいろすごいが、この認識で状況が好転するのは、ウイルスが突然、無害化する変異が生じた場合だけであろう。あらゆる好機を放擲して、悪いほう悪いほうに向かっているようにみえる本邦の現状も、理由があってのことだと理解すべきである。正味なところ。

この日、PEDROの無期限活動停止が発表され消沈している。この状況下でもSENTIMENTAL POOLSIDE TOURは敢行され、バンドの時間は進んでいるのだが。

海街チャチャチャ #4

『海街チャチャチャ』は早くも第4話。だいたいのキャラクターが見えてきて、今回はギターの弾き語りも披露するキム=ソンホの若大将ぶりが楽しい。毎話の最後に小さな解明のシークエンスがあるのだけれど、気の利いた締めになっていて、お約束通りの話が実にいい塩梅になっていると思うのである。好き。

COVID-19は東京での新たな感染者数が減少していて、何だかよくわからないけど減ってきたという雰囲気になっている。しかし、指数関数的な増加である以上は、減少にもまた指数関数的な性質があって、これからの下げこそ厳しい道のりとなり、何しろ辛抱の足りない最近の動向を踏まえれば、直ちに増加基調に転じることになるだろう。

今般の減少は、非常事態宣言による行動抑制に加え、マスク性能の啓蒙がすすんでウレタンマスクが減っているというあたりは大きな理由となっているのではないか。もともとマスクに拒否反応のない本邦であれば、高性能マスクが十分に普及していれば空気感染の防止効果は高いと思うのである。例の布マスク2枚がこのあたりの啓蒙を阻害したのはまことに罪深いことだった。

ワンダーウーマン1984

『ワンダーウーマン1984』を観る。何故、1984なのかはよくわからないけれど、オーウェルの『1984』というわけではどうやらなく、冷戦がどこに向かうかまだ定かではなかったあたりの雰囲気を醸して懐古的な見方もできる映画になっている。趣向としては『キャプテン・マーベル』と似ているようにもみえるけれど、こちらは前作を受けて話がすすむ。ガル=ガドットの神々しさは相変わらずで、監督は同じパティ=ジェンキンスだけれど、ネタはだいぶ割れているので少し苦労している感じ。若いトランプみたいな男の虚栄が世界を混乱に陥れるという筋書きは現実の苦さに比べれば、やはりただのファンタジーなのである。

このところの雨は続いていて時折、強く雨が降る。同じ市内でも1時間に50mmを越える場所があって夜、少し離れた地区の避難指示が発令されサイレンが鳴り響く。この展開は記憶にないけれど、山際に沿って降水が続いていたようなのである。気象の振幅は身近でも確実に大きくなっている。

SAS:反逆のブラックスワン

『SAS:反逆のブラックスワン』を観る。バッキンガム公にしてSASの隊員であるトムをヒーローとしたイギリス製のスリラーアクション映画。原作が『ブラボー・ツー・ゼロ』のアンディ=マクナブの小説なのだけれど、ノンフィクション出身なりのリアリティはほぼなくて、プロットもちょっと『ダイ・ハード』みたい。全体にもたもたとしたところが多く、125分の尺はいささか長すぎる。90分くらいに収めるとバランスのよい映画になったのではなかろうか。ラストシーンのシークエンスもドローン攻撃の演出にしかみえないところがあって、いろいろイマイチだと思うのである。にもかかわらずシリーズ化しそうな雰囲気さえ漂わせているとして、そもそも原作の続編だって出ていないのだ。

この日時点で、新型コロナウイルスに感染して自宅での療養を余儀なくされている人が全国で13万人を越えているという。もとから中央政府が何かしている様子もないとはいえ、自党の総裁選をおっ始めようという与党がこれを深刻に捉えているはずもなく、しかし国民は、ひょっとしたらトランプのアメリカに近いくらい酷い状況を生きているという自覚を持つべきであろう。

幕間狂言

この日、迷走の果て、内閣総理大臣が自民党の総裁選挙に出馬しないと述べて任期満了で退任することを明かす。前日まで意欲を見せていたことを考えれば、手詰まりの挙句、辞任に追い込まれたという状況だが、コロナ対策に集中したいと最後まで心にもないことを言う。だがしかし、不支持の拡大は、この虚な人間の顔をこれ以上、見たくないという生理的な反応も多分にあるはずだから、政権党を転覆させるまで気は抜けないはずである。あと1-2週間のうち、学校での看過できない感染拡大が確認されるようになるに違いない9月初旬の週末。国内のCOVID-19感染については猿山の騒動よりも重要な局面が到来しているのである。

『おかえりモネ』は昨日の話からこれを反転させたような鮮やかな展開で、80話の積み重ねの上に全視聴者が菅波先生を讃える流れ。連続ドラマというのはかくありたしという構築の見事さがあって、大変よろしいのではないだろうか。