スナック キズツキ

『スナック キズツキ』を観る。原田知世がママをしている昭和レトロなスナックには、酒は置いていないけれど、箪笥の裏の綿埃みたいな感情を抱えたひとがふらりと立ち寄り、ソイラテやドライカレーに舌鼓を打つ。この無口な店主がやおらギターを取り出して生演奏を始め「今のあんたの気持ち」を要求し、客がこれに応えて心情を縷々歌い上げるというのはさすがに意想外の展開で、『御先祖様万々歳』を思い出したものである。

クライマックスでスポットライトに切り替わる亜空間演出は、このところの深夜ドラマの流行りだし、昭和っぽい雰囲気のあるナレーションも『武士スタント 逢坂くん!』ほど振り切れてはいないのだけれど、何しろ原田知世、浜野謙太、平岩紙、成海璃子と役者陣が分厚く、ことに平岩紙のクレーマっぽさにはリアリティがあって、これが後半のカタルシスを支えており、第2話の客として引き継がれていく趣向も面白い。

原作はこれもマガジンハウス刊なのだけれど、なるほどと思ったことである。引き続き観るつもり。

EPISODE 0

中国では民間企業が報道事業を手がけることを禁止する方針が明らかにされて、後世からは歴史的なマイルストンとして語られるであろうイベントがこのところ立て込んでいる。世界の枠組みが堅牢であったことはなかったとして、2030年代がどのような時代となっているか、まったく予想のつかない2021年の今ここ。個々の事象を繋げていくと、薄暗い展望が浮かび上がることは間違いないとして。

『ルパン三世 PART6』のオンエアが始まって、初回は小林清志による次元大介の最終回だそうである。音声にも年輪が出るということがはっきりわかる感じだし、声優交代という事態を越えてキャラクターが同定されるのがアニメの不思議というものだから惜しむものでもなく、そもそもある時点で異世界に行ってしまった『ルパン三世』の世界観には、とうの昔に馴染むことができなくなっている。既に山田康雄よりも栗田貫一のルパンのほうが長いとなれば今さら語るべきものでもないのだが、今回のシリーズでは押井守が脚本を書いた回があるということなので、それだけは観てみようと思っている。

ファウンデーション #4

Apple TV+で『ファウンデーション』の第4話を観る。引き続き銀河帝国の統治の動揺とターミナスの危機が並行してすすむけれど、いよいよどっちも盛り上がる時間帯に入ってきて、次回刮目して待てという感じ。面白い。

『サマータイムマシン・ハズ・ゴーン』を観る。京都を舞台にしたオムニバスドラマで、ヨーロッパ企画得意の時間ものSFのアイディアが楽しい。京都の雰囲気もいい。ムロツヨシはすっかり貫禄がついているけれど、思えば『サマータイムマシン・ブルース』も2005年の映画なのである。『四畳半タイムマシンブルース』のアニメ化も楽しみ。

揺れ

夜、長く揺れの続く地震。こういう揺れは久しぶりで、311の時のことを思い出す。当時は会社の応接室にいたけれど、それまでに経験のないほど長時間にわたる揺れだったので一体、何が起きたのかと思ったものである。実際に起きていたことは、もちろん思っても見なかったようなことだった。

この日の地震は埼玉で震度5強。久しぶりに緊急地震速報が鳴り響いたみたいだけれど、ほとんど同じ大きさの地震が青森で起きたばかりだし、当地の揺れ方からすると長周期の地震動があって、そうした大地の振動も実に311ぶりだったのである。

Evergreen todo list

Rebuildでは、プロダクティビティの果てなき追求についての近況が話題になることが多いけれど、今週は実行できたら記録に残すタスクリストを運用することでメンタルヘルスとモチベーションを保つという、もはやTODOリストと呼んでいいのかわからない生産性向上への取り組みが語られていて笑う。やらなければならないことは問題の中心ではなく、どのようにやる気を維持するかという人間主義的な発想は新たなパラダイムであって、ヒューマンセントリックであることの意義は笑って流せないとして。

それ以上に面白かったのはカフェインの話で、コーヒーがヨーロッパに導入される以前、水分としては主にアルコールが摂取され、日常的な酩酊が中世の暗黒をもたらしたという視座はホントかよというダイナミズムがあり、しかしそういえばローマは水道文明であれば、そうした見解にも妙な説得力があると思ったことである。

Windows 11

Windows 11の正式版がリリースされたので早速、ダウンロードしてインストールしてみる。だいぶ変わっているところもあるようなので、メディア作成ツールで起動用のUSBメモリを作成してクリーンインストールを試みる。BIOS設定でTPM2.0を有効化する作業は必要だったけれど、ほとんど何の障害もなく導入は完了して、モダン化されたデスクトップが現出する。よくよくみるとシステムの基本は堅持されているようだとして、デザインのブラッシュアップは手の込んだもので破綻がないので印象は悪くない。macOSを意識しているのは間違いないとして、その目論見は高いレベルで達成されているのではないだろうか。

海街チャチャチャ #12

引き続き『海街チャチャチャ』を観ている。基本的にツンデレのコンセプトをもつ本作において、今週分の配信は、デレだけで第11話と第12話の都合3時間弱をつないだ偉業によって語り継がれることになろう。いわゆるバカップルな状況が続くので役者も大変だと思ったが、何だか楽しそうだし、主演カップルのキャラクターにも合っているので、これはこれでよいのではなかろうか。一方、第12話ラストには予告がついておらず、その不在に波乱の予感があって、もちろん第13話はホン=ドゥシクの5年間の空白が徐々に明らかになる展開回になるはずである。伏線もいくつか張られているので、物語の時間軸が飛ぶようなことはなく、残り4話で大団円になることもまず間違いないとして。

この日、第100代の首相が選ばれ、新しい内閣が発足する。既にその内実は知れており、仕事ぶりに期待を寄せることはできないということもわかっているのだが、その不具合を隠し果せる余裕はもうこの国には残っていないのではあるまいか。