『CURED キュアード』を観る。ウイルスによる感染症が広がり、感染者がゾンビのように振る舞う事態から、治療法の発見により立ち直りつつあるアイルランドで、元感染者の社会復帰のプログラムが開始されるが、非常事態がもたらした社会の断絶のなかで、元感染者自身が当時の記憶によって苦しみ、一部は過激派となって社会に再び騒擾をもたらそうとする。
時節柄、社会の不寛容と感染者に対する差別の構造からはコンテンポラリな課題意識が惹起されるし、アイルランドだけに過激傾向をもつ地下抵抗組織が形成されていく文脈にも自然と現実が投射されてリアリティを感じざるを得ない。これは2017年の映画なのだけれど、ワクチンパスポートの是非が議論される世界ではそもそも公開が危ぶまれるところで、非常に普遍的なテーマを扱っているのである。改名前のエリオット=ペイジが主演している。