Red Planet

火星に着陸したローバーからの映像を飽かず眺めて、なるほど赤い星であると感心し、つい何か生命の痕跡を探している。地平を見れば生物のパターンを見出そうとするのは本能に根ざした反応のようで、もちろんいかなる生命も存在しないだろうという理性の声をうまく受け入れられずにいるのである。

その大地を孤立無縁の探査車が往き、見聞きした情報をただ地球に向かって送り続ける状況自体にブラッドベリの詩情がある。