『ザ・ハント』を観る。ジャンルとしてはデスゲームの類型に属し、つくりは明らかにB級映画のそれでありながら、富裕層とレッドネックと呼ばれる貧困白人層の対立の構図を持ち込むことで、政治的な風刺の意味合いが濃く映る。人間狩りというよりは、富裕層と貧困層の殺し合いの映画で、リベラルエリートの醜さを持ち込んだところが目新しい。ドナルド=トランプはこの映画を指してレイシストが作ったと批判したそうだけれど、その文脈でこそ興味深い映画であろう。トランプが実際には観ていないことは明らかだが、内容はといえば、どちらサイドの人間も愚かという他ない描き方で、まず身も蓋もない。
NHKで『ビルマ 絶望の戦場』を観る。インパール作戦のあとの司令部の逃亡と孤立した部隊が滅亡に至る1年に取材している。イギリス第14軍の指揮官の言葉は、現代にも通じる本邦の宿痾を看破している。
日本人指揮官たちには根本的な欠陥があるように思える。それは道徳的勇気の欠如である。彼らは自分たちが間違いを犯したこと、計画が失敗し練り直しが必要であることを認める勇気がないのだ