ジョイ

『ジョイ』を観る。ジェファー=ローレンスが実在の女性実業家を演じ、彼女が発明を事業として立ち上げようと奮闘する様子を描く。『世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド=O・ラッセル監督が、ジェニファー=ローレンスとブラッドリー=クーパーを再び起用した映画。ジェニファー=ローレンスの雄弁な無表情を実にうまく撮っていると思うのである。

シングルマーザーのジョイが家族の世話に明け暮れ、男どもは勝手なことばかりしているのだけれど、ジョイがショットガンをぶっ放すシーンや、ほとんど囁くように言う”I can’t accept your answer.”と言うセリフのかっこよさにはシビれる。父親を演じているのがロバート=デ・ニーロで、冒険的な演出はジョイが生きているのが不思議の国であることを教える。尋常でなくタフな彼女は、しかし紛れもなく家父長制の抑圧の犠牲者であり、抵抗者なのである。それを意図的に描いているあたりがとてもいい。