ステーション・イレブン

『ステーション・イレブン』を観る。エミリー=セントジョン・マンデルの小説のドラマ化で、第1話はインフルエンザに似た疫病が瞬く間に広がり、文明が終わるその前夜の出来事と8ヶ月後、ほとんど無人となった世界に足を踏み出すまで。そして、それよりかなり後の世界について。

COVID-19を経験した後の世界で、グルジア風邪と名付けられた死病を題材にした本作のタイミングはよいのか悪いのか。しかし、この映像化はかなり前に読んだ原作をほとんど忠実に画面に定着した印象で、雰囲気は全然悪くない。そのパンデミックのさなか、舞台となるシカゴの人々はノーマスクで苦しそうに咳をしているわけだが、さすがにマスクを着けるくらいの適応はするだろうとは思うとして。

スーパーで買い込んだ食料を、連結したカートで運ぶシーンがあって、そのあたりは以前、小説で読んだ通りのイメージだったので驚いている。ことによったら遡及的に記憶が形成されたのかもしれないが、原作の世界観そのものが大事にされているのは確かだと思うのである。