故あって、登記・供託オンライン申請システムというものを使ってみる。そもそも、登記簿謄本をオンラインでも取得できるということを知らなかったのだけれど、使ってみればインターネットバンキングを使った手数料の支払いまで連動していて、ワークフローとしてはひと通り必要なものが揃っているみたい。まず、用は足せたので、非常にありがたいものだと思ったのである。
しかし、これはかなり以前から実現されている本邦DXの先駆けの姿とみえて、テクノロジーとページデザインには21世紀初頭の雰囲気が漂っている。UX設計の不具合を、箇条書きの注意書きで補っていくスタイルであれば、洗練されたページデザインなど望むべくもない。Webページであるにもかかわらず、昭和の高度成長期に建設された法務局のイメージを体現しているのである。
どこかで生真面目なウォーターフォール型の開発を行ったベンダーがあったとして、Chromium対応改修などの必要に応じた改善はすすめているものの、出来上がった仕組み全体の改修には予算がつかないという気配は、ニッポンの現在地に重なって切ない。まずは金の使い先だが、その使い方を時代に適応させていくことによって社会というのはずいぶんと良くなっていくはずだと思ったことである。