『ナイル殺人事件』を観る。ケネス=ブラナー監督、主演による2022年の映画。『ナイルに死す』の発表が1937年である。第一次世界大戦や大恐慌の記憶と地続きのこの話をあらためて映画にしようというのも、ある種の異国趣味に過ぎず、端的にはクリスティの作品が好きだからという以外の理由はないのだろうけれど、幾つもの改変はあるとして、しかし何となく書き割り風のエジプトが逆にアガサ=クリスティっぽい雰囲気を醸し、これはこれで悪くないような気もする。『オリエント急行殺人事件』に続く本作だが、同じ陣容で第3作の製作も決まっているそうだから、ちょっとした人気シリーズなのである。ケネス=ブラナーのエルキュール=ポワロはやや強めの押し出しとはいえ、違和感はあまりない。中学から高校にかけて、ハヤカワの赤背表紙を集中的に読んだことを懐かしく思い出す。つまり、そのような需要があるということであろう。
連休の最終日。この近くではこの時期、比較的に大きな花火が方々で打ち上げられて、家の窓からも望むことができるのだけれど、20時過ぎ、急に降り出した雨にもかかわらずやや大きめの音が鳴っているのに気づいて、次々と夜空に広がる様子を眺める。花火は秋の季語である。