フレンチ・ディスパッチ

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を観る。いかにもという感じの長いタイトルだが、ウェス=アンダーソンの2021年の映画。相変わらずシュールなウェス=アンダーソン節だけれど、美術はとにかく手が込んでいて見応えがある。常連の俳優もひと通り出演している感じ。例によってアメリカ人らしからぬ作家性はいいのだけれど、103分がやや長く感じるのは、アクの強さが影響しているのかも知れない。結局のところどの作品でも同じことをしているような気がしなくもないが、精巧に設計され発見が多い画面である。このレイアウトと色彩設計だけでも映画らしい映画なのである。

三連休最終日。この休みにニュースを見ると、日本各地で3年ぶりのイベントが行われていたようだけれど、大して状況が変わらないのに年季明けみたいな感じになっているのは、実に人の世という気がする。これもまた適応の一形態だろうけれど、いろいろに目を瞑っているだけだということは理解しておく必要がある。