『マリグナント』を観る。ジェームズ=ワン監督の原案によるホラーサスペンスということであれば、通り一遍のサイコホラーであるはずはないと思いながら、どうしたってサイコロジカルな解決に向かうだろうという予想をさせておいてからのフィジカルな解決には、ちょっと笑う。さすがなのである。
主人公のマディソンを演じるアナベル=ウォーリスの腺病質な雰囲気も、そのまま観客のミスリードに効果を発揮していて、全体がよく巧まれている。冒頭から脈絡の見えない急な舞台展開が続くのだが、きちんと回収されるし、警察署を舞台にしたクライマックスもやり過ぎ感があっていい。今や廃虚となった医療施設で行われていた実験の因縁を扱うホラー映画のジャンルがあるけれど、今になってこれに新たな形態を付け加えたという意味でも手柄ということになろう。面白い。