万全の備え

第5波のあと、新規感染確認の減少局面において冬季に向けた第6波への備えが語られたと記憶しているが、その万全は例によって口先だけの話であって、この日、ニュースでは若年層への検査不実施に向けた観測気球が上がる。現状を科学的に判定しなければ損害も負けもまた存在せず、方針にあわせて実施を歪めるという旧軍体質が露呈して、早くも負け戦の展開となっている。PCR検査の実施をめぐる状況は少し改善がみられるのかという期待もあったのだが、考えてみれば第5波の敗因分析が広く行われたという話もないのだから、備えも気分だけなのである。

『平家物語』の第2話を観る。安徳天皇の母となる徳子にかかわる先読みのイメージが、繰り返し不穏を呼び起こして物語の基調を作る。画面の質も高いが、この天才的なアイディアが作品の骨格をつくっている。素晴らしい。