もちろん、『京都人の密かな愉しみ Blue 修業中』の最終話『門出の桜』を観る。劇中もこのシリーズの完結にかかった5年と同じくらいの時間が流れたことになっていて、しかしCOVID-19の影響はない様子で描かれる。食については春の味覚、筍を題材として、前作と同じく99分のフォーマットはドラマパートを重視した作りで、大原のパートがやや後景化していたりするので、全体のバランスはほどよい。青の時代というテーマに沿ったかたちで話はきれいに収まり、京都から一度離れることになる結末が前シリーズと韻を踏んでいる。
女将の亭主の駄目さ加減とか、細かいエピソードまで回収しているのはいいとして、幸太郎と釉子の恋模様は、そういう話だったっけという気がしなくもないけれど、林遣都と吉岡里帆であればまぁそうなのだろうという感じになっている。結末にかけてのこういう急展開も、シリーズの伝統なのである。
同一設定での主役交代まで乗り越えたこのドラマだが、エドワード=ヒースローという変わらない要素も配置して、2015年初回作品からの経緯を大事にしているのは、さすが伝統を語るドラマというべきである。ほとんど半年ごとに放送されていた頃に比べると制作の難易度も上がってきているような気がするけれど、きれいにおしまいとするには惜しいアセットになっているのではなかろうか。