セザー=ヒダルゴの『情報と秩序』を読んでいる。原子から経済までを動かす根本原理を求めて、という副題の示す通り、宇宙創成のイメージとエントロピーから始まる話の枠組みは滅法大きく、情報の定義と言葉通りの起源に遡った議論はエキサイティングなものである。
時間は秩序から無秩序へと流れているのに、私たちの世界はどんどん複雑化しているように見える
まず、問い立てが見事なのだが、私たちの宇宙には過去も未来もなく、その瞬間その瞬間で計算される現在が存在するだけという時間観を導入する手つきも鮮やかである。面白い。