『我らの罪を赦したまえ』をNetflixで観る。14分の掌編だが本格的に作り込まれた映画で、ナチスドイツにおけるT4プログラムを題材にする。障害者の虐殺政策として知られるT4を扱っていることは、社会的弱者を敵視する政党が本邦においても幅を効かせている状況であれば時節に適い、見応えがある。アテンションスパンが短くなっていると言われる当世であれば、こうした短編映画がもっとあってもいいし、配信サービスはプラットフォームとして最適だと思う。
冒頭、「社会の倫理観は子供の扱い方にあらわれる」というディートリッヒ=ボンヘッファーの言葉が引用される。物語としては、そのまま障害をもつ子供の運命を扱っているが、善を選ぶことが不可能な状況下において人間がどのように振る舞うべきかという主題をも射程に入れているということであろう、そのタイトルの通り。特に開巻5分の緊張感は居住まいを正すもので、間然するところがない。