ロシアのウクライナ侵攻は、戦後のヤルタ体制を最終的に終結させたという文章を読んで、つまりそういうことなのだと思う。
ロシアが一刻も早く戦争を終結させたいと考えているのは間違いないが、それには成果を手中にすることが前提で、ウクライナの実力によって阻止されている。ことここに至り、ウクライナにはロシアに譲歩をするつもりがない以上、ロシアは帝国として復活するどころか、その地位は時間とともに低下していく。
国際社会は新たな国際関係のパラダイムとそれがもたらす秩序を模索することになる。国連安保の常任理事国というシステムの再構築が重要なアジェンダとなって、遅かれ早かれロシア抜きの体制が組まれることになる。ドイツと日本にとって、それはもっとも大きな変化をもたらすことになるだろう。この流れであれば、競ってその軍備を拡張し大国としての発言力を確保しようとする予想には違和感がない。
平和の配当を返上しようという動きが、暮らしを豊かにすることは決してないだろう。まして、富の源泉が知識に移行していくなかで、資源が前時代的に浪費されるのであれば、これは一層、暗いシナリオということになる。