散り椿

『散り椿』を観る。葉室麟による時代小説の映画化。主人公の瓜生新兵衛を岡田准一が演じ、オールロケーション撮影によるリアリティのある画面と切れのある殺陣が相俟って迫力のある映像になっている。監督と撮影は黒澤組出身の木村大作で、雪と雨のシーンにはびっくりするくらいの物量が投入されている。その作家性に加えて、玄人はだしという水準にある岡田准一の居合が見どころであろう。大したものである。

この日、国会では首相の所信表明演説があったのだが、この御仁はこの期に及び円安メリットを生かすなどと述べ、相場は145円台に回帰する。メリットのある円安であれば、さきに為替介入を行ったのはいったい何だったんだということであろう。「リスキリング」というバズワードも飛び出し、もとより厚生労働省は学び直しの講座助成を強化しているけれど、旅行業と同じく、利権化したキャリア産業の腐臭が酷い。この国の下り坂も随分と続いているけれど、まだ底が見えないというのは幸いというべきなのか。