『旅するサンドイッチ』を観る。もとはテレビ東京と高崎市のタイアップ企画によるテレビドラマみたい。劇中に高崎市長が登場して挨拶する微妙な生臭さもあるのだけれど、伊藤万理華と富田望生がキッチンカーで旅をするサンドイッチ屋でこれに寺島進と宮崎美子が演じる農家の夫婦が絡んでくる話で、まずそれなりのキャストが組まれている。伊藤万理華はいつもの感じだったとして、そこがいい。家族間のいざこざを、流れもののサンドイッチ屋が解決して去っていくという、懐かしい風来坊もののフォーマットを久しぶりにみた気がする。
この12月、戦後を貫いてきた自衛隊の専守防衛や防衛費のシーリングといった重要な原則が事実上、勝手に塗り替えられるという恐るべき事態の進展をみている。これとセットにした増税や復興財源の借りパクまで開き直ってすすめようというのは、党内右派の声を丹念に聞くことによる求心力の維持を、自身の財政規律派としてのアイデンティティを保ちながら実現しようというある意味で整合的な帰結のだろうが、大平正芳元首相のいう「楕円の理論」のバランスが崩れた結果、その回転の軌道は均衡を失って暴走しているようにしか見えない。そして何もできないはずのレイムダックが、これまでの全てを薙ぎ倒すのを、NHKは既成事実であるかのように伝えている。