最後の宇宙飛行士

ハヤカワの新刊『最後の宇宙飛行士』を読み始める。宇宙開発の熱狂を挫く火星探査計画の失敗あと、悪化する生存環境と人類の閉塞を感じさせるやや暗い未来、自発的に制動する天体が太陽系に向かっていることが発見される。2017年の恒星間天体オウムアムアも想起させるこの序盤、ハードSFとしてのヒキも雰囲気も十分という感じなのだけれど、惹句には「ファーストコンタクトSFホラー」とあって期待は高まる。

『ワールドウォーZ』(今となってはこのタイトルは黙示のようだが)みたいなオーラルヒストリー体のフィクションが大好物なのだけれど、本作もそれに近い断片が幕間におかれる『巨人計画』風の演出で、顛末が『エイリアン』でも『イベント・ホライゾン』でもそれなりに盛り上がるのではないかと思うのである。期待しつつページを繰る。