梅雨のさなか、曇天にもかかわらず日本は各地で30度前後の気温となり、気候の様子は夏に向けて不穏な雰囲気が漂っている。世界をみるとインドでの大洪水が小麦の輸出にブレーキをかけた記憶も新しいうち、同国を再び大雨が襲い、バングラデシュでは過去122年で最悪といわれる洪水に見舞われ、中国ではこの数日、南部の広範囲で河川が氾濫する状況となっている。アメリカではイエローストーン国立公園が豪雨の被害で初めて閉鎖される事態となり、フランスではかつてないほどの大きさの雹が広い地域で観測される。農作物だけでなく、家屋や自動車にも甚大な被害が出ている様子である。
パニック映画なら冒頭30分までに起きる世界各地の異変が、気候変動の結果、ついに現出しているのである。もう何度も言及していることだが、『デイ・アフター・トゥモロー』そのまま、大西洋南北熱塩循環の停滞のような現象が気候の恒常性に不可逆的な打撃を与える怖れさえ、もはやフィクションではなく、この状況は沈静化の見通しも立たないまま果てしなく続く。