『白頭山大噴火』を観る。タイトル通り、白頭山の噴火に始まるディザスター映画だけれど、核爆発で破局的な噴火を阻止するという2006年版の『日本沈没』みたいなミッションが主軸となり、そのために北朝鮮のICBMのウォーヘッドを奪うという話で、ハリウッドのアクション大作みたいなつくり。核兵器の情報を握るのがイ=ビョンホンの演じる北朝鮮工作員で、マ=ドンソクが田所教授の役回りなのでキャストもおごっている。ぺ=スジも出ているのである。128分の長尺とはいえ、いろいろと盛り沢山なのでかなり忙しい展開となり、もたもたしているところはないとして危機さえも早送りなのだけれど、ハリウッドタイプのストーリーをきちんと作れるのが韓国映画のすごいところである。
北への侵入作戦というデリケートな題材は、第1波の噴火で北朝鮮の政体が事実上、消滅したことにして消化しているのだけれど、米国と中国という二大国の横暴はきっちり描かれていて、ことに米軍の駐留基地に押しかける避難民に対して米国領への侵犯が警告されるシーンには『グエムル-漢江の怪物-』からこっち時々顔を出す政治的な独立についての意識の高さが窺え、今や幸福な奴隷という域にある本邦との差は大きい。
全体として貧乏くさいところはなく、SFXもそれなりで劇場鑑賞の価値を感じさせる画面なのだけれど、白頭山の描写にも2006年版『日本沈没』を想起させるところがあって、この風呂屋の書き割りがリスペクトだとすれば皮肉の意図も勘繰らざるを得ない。