先刻ご承知の通り、エディターやノートアプリは試してみるのが好きな方で、これまで数多のアプリやサービスを渡り歩いてきたけれど、結局のところオーソドックスなツールに戻るというのを繰り返している。
生産性業界のこの数年の流行はZettelkastenで、最小単位となるアトミックノートをリンクして文脈化するコンセプトは、パーソナルナレッジマネジメントという一大分野を形成しつつある。Backlinkingは象徴的な機能で、Roam ResearchやObsidianが実装したこのファンクションは、ノートにもアウトライナーにもサービスにも吸収されて、かなり一般化したようである。
性懲りもなく、たまに新しい製品を探索してみるのだけれど、世に同好の士というのは多いもので、新サービスを評価する記事や投稿には事欠かない。これを提供する側も競争の厳しい分野であることを承知して参入してくるのである。PKMというのは、大方にとっては為し得ぬテーマであるがゆえに、見果てぬ夢ということであろう。
ObsidianをMacアプリのSwiftフレームワークに載せた雰囲気のReflect、Notionをエディター寄りにしたようなNotaが、最近ではやや目を引く感じだけれど、ニッチに切り込んだ仕様という印象で亜流の域をでないのではなかろうか。
そんななかでは最近、Y Combinatorのサポートも獲得したHeptabaseが一頭地を抜いているようにみえる。使い勝手はCraftみたいなのかとも思ったのだけれど、カードを使ったマップの機能は固有のもので、ワークフロー自体もZettelkastenを現代的によく咀嚼した実装のようである。この分野のツールを特徴付けているグラフ機能をもっていないのだが、実はグラフ化自体はアウトプットにさほど関係ないことを考えれば、かえって本質的な検討を踏まえているのではないかと思うのである。iPadOSには対応していないのだが、当初からMacとWindows/Linuxのクロスプラットフォームであるのも開発力の高さを窺わせて期待は高まる。