英国式ユーモア

東福寺に伝わる日本最古のトイレに車が突っ込んで室町時代に造られたこの共同便所が破壊されたというニュースをBBCに教えてもらう。「スクワット」式に用を足すための設備は無事だったということだが、700年前から伝わる扉と建物の柱は大きく損傷したそうである。極東からこのニュースを取り上げる編集は、もちろん本邦のニュースよりも世界に目を向けていて、しかし自覚的な底意地の悪さもあって、とにかく文化の厚みを感じる。

9月ごろ、このパンデミックも終わりというバイデン大統領の声明に日和った感じもみせていたWHOは、この日、危機は継続しているとして直近の認識を示す。コメントでは新たな変異株のインパクトが拡大することにも予防線を張っているようである。ヨーロッパでは明らかとなっている再拡大が、免疫低下というよりは免疫回避によるものであるとすれば、ワクチンを軸とする戦略はやはりその前提が揺らぐことになる。ICUの設備が充実しているといわれるドイツで、最近の死亡者の増加が急であり、オミクロン株の拡大期の水準を超えてきているのは不吉なサインだと思う。