この日も気温は上がり、来るべき夏の試練だけでなく、この先ほとんど恒久的に灼熱と極寒を行き来する気候変動の取り返しのつかなさと、それがもたらす恐るべき影響を予感させる。変動の振り子は大きく振れることで人類のみならずあらゆる生物種の生存環境を脅かすだろう。
そしてこの日、夜になってひんやりとした空気が通るように開け放した窓の脇を、ささやかな明かり灯して蛍が飛ぶ。家の近くを農業用の水路が通っているのだけれど、これまでは頻繁に蛍をみるという感じでもなかったので、この度はいろんな条件が重なったということだろう。庭先に数匹は生息しているようである。
それが許容できる変化の幅にとどまれば、生命は自らその道を探す。大きすぎる変化は多様性の一部ともいえる脆弱性を薙ぎ倒してしまうところに問題の本質はあって、温暖化のペースを抑え込むことが重要なのはこの一点にかかっている。