イギリスではフィッシュ・アンド・チップスの材料と油が値上がりして、ひとつ11ポンドで売らなければ採算が取れない状況だというニュースを読む。ここ1年の間にマダラは75%、ヒマワリ油は60%、小麦粉は40%それぞれ値上がりしたということだが、小麦粉の値段はさらに上昇することになる。ウクライナでの戦争に加え、インドの異常気象が収穫に打撃を与えた状況で、今後5年以内に世界の平均気温が産業革命前の1.5度以上になるシナリオは五分五分、そうでなくとも1度以上の上昇をみることになって、猛暑、豪雨、干ばつにより農業生産の不確実性は著しく高まっていく。インドではその結果が既に現れているということである。不確実性というのも、主に人間の目論見が達成できないという観点であって、気温上昇幅が1.5度となれば、10年に1度の猛暑事象が10年に4回以上発生するというのは、むしろ確実性の高い話なのである。
日常にあっては、そのスケールの違いによって、自身が人類史の変化点にいると認識するのは難しいが、パンデミックと戦争に加えて気候の大変動によって2020年代が世界を大きく変える10年であっても驚かない。