Archive 81

『アーカイブ81』のもとになったというPodcast『Archive 81』のシーズン1を聴いてみる。インスパイアされたとかいうレベルではなくて、登場人物の名前、設定からネズミの配置まで使われているので正しく映像化というべきでちょっと意外。Podcastのほうはシーズン3まであるので、よければシリーズ化という目論見だろうが、映像には映像の面白味が付加されているのでよろしいのではなかろうか。

この日、厚生労働省は医師が検査なしでコロナ感染を判定してもよいという謎のお触れを出して、本邦の医療が帰納的な方法による科学というよりは、呪術か徴税のごとき判定機構によって運用されていることを露呈する。検査なしに処方ということもさすがにないだろうから、これは隔離も医療行為もしないという流れで、結局のところ感染は拡大するだろう。

アーカイブ81

Netflixで『アーカイブ81』を観る。今のところ映像データの修復士が火災現場に残されたインタビュービデオの再生を請け負い、正体のわからない団体の山荘で作業を開始するという導入部分なのだけれど、どこかセオドア=ローザックの『フリッカー、あるいは映画の魔』を想起してなんだかワクワクしている。このシリーズそのものは、found footage horrorを標榜する同名のポッドキャストに着想を得ているという話で、こちらも是非、聴いてみなければならない。

『鎌倉殿の13人』の第3話は冒頭から北条政子の子が登場して話の速さに驚く。そして巻き込まれ型の主人公が体育会系男子の集団にあってひっそりと書斎仕事をこなし、主君の危機にあって最小分散不偏推定ともみえる考察を行なって敵の兵力を看破する熱い展開。この面白さはすでに『真田丸』を越えているのではなかろうか。引き続き坂東彌十郎の北条時政がいいのだが、歴史はこの先、幾つもの見せ場を用意しているので非常に楽しみ。

妻、小学生になる。

TBS金曜ドラマの『妻、小学生になる。』を観る。原作は村田椰融による漫画。タイトルからして実写化のハードルは高そうだけれど、大島里美の脚本は導入の作業を丁寧に積み重ねてドラマなりのリアリティを構築しており、冒頭に近い段階で生まれ変わりを納得させる原作とは異なる方向で意外に面白い。物語として一番、面白くなるのは奇想天外なこの導入部分だろうから、次回以降にその真価が問われることになる難しい構成だとして。連載継続中のこの物語をドラマとしてはどのように着地させるのかも気になる。

この日、全国の新規感染は5万人を越え、東京は初めて1万人を上回る。その状況で検査陽性率は異様な高さにあるようだから、感染者の確認はどこかで頭打ちとなって、しかし実際の感染拡大は続くという異常事態となるだろう。潜伏期間が短いらしいことを考えると、非常事態宣言と学校休校の効果が高そうだが、相当に追い込まれないとその境地には至りそうにない。

ファイトソング

『ファイトソング』の第2話を観る。先週、TVerで初回も確認していて、岡田惠和の脚本とはいえ鬱屈を抱えたミュージシャンとか不遇な主人公とか、ちょっと古びたセッティングはどうなのだろうと思っていたのだけれど、清原果耶の役者としての仕事がいつも通り良いので普通に観られる。そして、菊池風磨も好きなのだった。またしてもセカンドリードの役回りだが、それがまたよく嵌るのである。藤原さくらや稲森いずみも存在感があって、キャスティングもなかなかいい。

1日の感染確認は5万人に迫り、このあたりでもかつてない規模での拡大が続いている。

万全の備え

第5波のあと、新規感染確認の減少局面において冬季に向けた第6波への備えが語られたと記憶しているが、その万全は例によって口先だけの話であって、この日、ニュースでは若年層への検査不実施に向けた観測気球が上がる。現状を科学的に判定しなければ損害も負けもまた存在せず、方針にあわせて実施を歪めるという旧軍体質が露呈して、早くも負け戦の展開となっている。PCR検査の実施をめぐる状況は少し改善がみられるのかという期待もあったのだが、考えてみれば第5波の敗因分析が広く行われたという話もないのだから、備えも気分だけなのである。

『平家物語』の第2話を観る。安徳天皇の母となる徳子にかかわる先読みのイメージが、繰り返し不穏を呼び起こして物語の基調を作る。画面の質も高いが、この天才的なアイディアが作品の骨格をつくっている。素晴らしい。

平家物語

『平家物語』の第1話を観る。古川日出男の現代語訳をもとに、独自の脚色を添えたアニメーション。語り部に先読みの眼をもつ琵琶法師の子「びわ」というキャラクターを据えて、ちょっと驚くくらい芳醇な物語を生み出している。高野文子によるキャラクターデザインもサイエンスSARUによるアニメーションも秀逸。アニメで『平家物語』を作ろうという意図が今ひとつ飲み込めていなかったのだけれど、琵琶法師の子「びわ」による平曲がカットインされる演出ひとつ、これはなかなか大したものだと感心せざるを得ない。情緒と高い格調があって、なお面白いのである。『鎌倉殿の13人』と同じ時間軸を扱っているのも時節に合っていて、これは楽しみ。

国内の新規感染は過去最高を更新して4万人を越える。維新支配下の関西自治体は蔓延等防止措置の要請を見送りという話がニュースになっているけれど、想像力の決定的な欠如がもたらす愚かな判断という一点で維新そのものの所業で、急速な蔓延に駄目を押すことで社会機能は遠からず麻痺することになるだろう。行政に責任を負いながら、その一切に何ら痛痒を感じないであろうというのも、また維新なのである。

恋せぬふたり #2

『恋せぬふたり』の第2話を観る。同居ものラブコメのフォーマットを採用するこの物語は、車窓に映っている景色が同じだと思っていたら実は進行方向が違う内回りの山手線に乗っていたという感じに観る者を狼狽させずにはおかない。岸井ゆきのが演じる咲子の異議申し立てに対する家族の対応はちょっとしたホラーの様相で、何につけ評価を試みる社会の生き辛さを可視化して重い。濱正悟が演じるカズの言動に至ってはサイコとしか思えぬ展開で、いろいろスリリングなまま次週に続く。引き続き30分とは思えぬ密度で、韓流なら各70分の第4話くらいのところまで来ていて、何しろ面白い。

この日、全国の新たな感染確認は3万人を越える。拡大のペースが速ければ、行動抑制に移行した場合の高い効果もまた期待できると思うのだが、いろいろと中途半端なままモニタリング項目の陽性率は東京で18%、大阪で48%という恐るべき状況にある。もはや多少の策では収束に向かわぬであろう。