蔓延

この日、地元市内では19人の新規感染が確認され、小学校でクラスターが起きていることが伝えられる。このところ県内で200名規模の確認が続き、うかうかするとたまに過去最高を記録するというペースなので、市内で19人といえばびっくりするほどの多さだ。しかし発表には時間差がある様子なので、今後はこれを更新していく流れだろう。

首都圏では病床使用率20%を待って蔓延防止等重点措置を要請するという話らしいのだが、無論のこと早ければ早いほど効果があって、感染が急拡大している状況ならなおのこと有効というのが行動抑制策であるからには、この数日の躊躇が被害を拡大させることになる。ピークでは数倍、面積ではさらに大きい差となって事態は長引くであろう。

鎌倉殿の13人

『鎌倉殿の13人』は坂東彌十郎の見せ場たっぷりで相変わらず楽しい。山本耕史の「首はねちまえよ」というセリフもあって素晴らしい。しかし筆頭に挙げるべきは新垣結衣一流の目の演技であろう。「もうよい」という言葉もあって、その出番はあとわずかであろうが、この印象の積み重ねがやがて大河というに相応しい物語の潮流となっていくのである。現在のところ巻き込まれ型の主人公の小栗旬がとてもいい。

各地でトンガの火山噴火がもたらした潮位の上昇が観測される。気象庁は津波と言いたがらない奇妙な展開となっているけれど、現象的には津波というほかない。大気の変動が津波を生じさせるメカニズムはやがて明らかになるだろう。

この日、地元の感染警戒レベルは非常事態宣言一歩手前にまで引き上げられる。小学校の1週間程度の休業も起きているようである。10万人に40人をこえる水準となって、県としては過去最高の新規感染が続いている以上は、やがて全数の入院・隔離が困難になることになるだろうが、雰囲気としては行けるところまで行くという様子である。「オミクロン株は軽症」という言説の罪は深い。ほんの数ヶ月前、オリンピック下の日本で入院加療を受けることなく死んでいく人が多数あったというのに、それを忘れてふたたび手遅れになるまで平常心というのは、腹が据わっているというより、何も考えていないようにみえる。

巨大噴火

この日の午後、トンガのHunga Tongaで発生した巨大な海底噴火が深夜になって日本の沿岸に潮位変化をもたらし、海面の上昇が観測される。気象衛星の画像を見ると、この噴火は本州を覆い隠すほどの規模として観測されており、VEIの指数では暫定で6となる規模の、並外れて巨大なものとなるらしい。1991年のピナツボ火山の噴火に匹敵するか、それを上回ることになるだろうから、個人史においても最大規模ということになる。

チリ地震のときにそうだったように、太平洋を伝わってきた津波は東北では増幅されたものとして観察されることがあるけれど、何しろこの規模の海底噴火が空振やカルデラ陥没によって津波を生じさせた事象は観察されたことがないだろうから、いったん日本への影響はないという発表になったのも責めることはできない。

そして発生した衝撃波が日本列島でも気圧の変化をもたらしたようだが、これは地球を何周もしながら減衰していく波の第一波ということになる。

このたびの噴火はカルデラが形成される規模で、人生においてそう何度も起きることではなかろうが、日本近海でも最近の福徳岡ノ場の地殻変動は噴火をともなったもので、この上、さらに何が起こるかはわからない。

そうでなくとも、今回の噴火がピナツボと同様に極端な寒冷化をもたらす予想には蓋然性が高く、実際にそうした気候変動が起きなかったとしても、その予想自体が逼迫する穀物市場にさらなる高騰をもたらすことになる。2021年までに拡大した世界の貧困と飢餓は、この天変地異によってさらに深刻化するのではないか。

ディヴァイン・フューリー

『ディヴァイン・フューリー / 使者』を観る。韓国映画にはキリスト教を題材にしたものが案外多いけれど、教徒は総人口の3割を占めるというから立派なキリスト教国なのである。本作はパク=ソジュン演じる総合格闘家が回心して、神父を助けエクソシストになる話。その肉体美を称賛しつつ、コスプレとしては神父のキャソックを纏ってもらおうという趣向で、ラストにはバトルもあって、まぁ、やりたいことはわかる。悪魔祓いの話である以上は全体に暗めのトーンで、話の起伏もややなだらかなのだけれど、それほど悪くない。

チェ=ウシクがエクソシスト見習いの神父として端役で出演していて驚いたのだけれど、続編の主人公として名指しされるオマケがついていて、なるほどと思ったことである。本作はやや変化球というべきだが、しかし神父が主人公という正統なエクソシストものにどれほどの需要があるかは不明。

淘汰圧

WindowsではMicrosoft謹製のPowerToysを導入して便利に使っているのだけれど、特にランチャーのPowerToys Runは秀逸。最近のアップデートでVisual Studio Codeのワークスペースを直接指定して開くことができるようになって感動している。Microsoftのプロダクトがよくなっている最近の傾向は明らかだけれど、製品のつながりで価値を高める手法は他で真似ができない境地にある。

オミクロン株の拡大はいよいよ加速して、アメリカなどでの論調も全国民が感染することを前提に、症状緩和のためにブースターショットを推奨するという雰囲気になっている。KF94以上の高機能マスクも強く奨励されて、つまるところ、ワクチンと高機能マスクのほかに手立てはなさそうだ。一方で、社会機能の維持を題目に行動抑制は回避し隔離期間も短縮となると、潜伏期間の長いデルタ株に近いオミクロン株が生き残るように淘汰圧が働くのではなかろうか。それは重症化の方向であるように思える。進化は生存のための道を見つけ出し、その遺伝的アルゴリズムに人知が対抗できる気がしない。

ミステリと言う勿れ

『ミステリと言う勿れ』を観る。『ゴシップ』の初回でフジテレビドラマもどうなのかと思ったばかりだし、いわゆる月9であればなおのことという先入観もあったのだけれど、これはなかなか面白い。初回はストーリーもセリフも田村由美の原作マンガそのままという印象だけれど、大仰な演出とBGMで濃い味付けをして、菅田将暉が菅田将暉が演じる久能整というよりは久能整を演じる菅田将暉になっているあたりが案外いい。伊藤沙莉と尾上松也もキャラクターを随分と立体的にしていて、遠藤憲一を使った役回りも効果的なので、ドラマ化そのものの意味合いがあるというものである。

日本テレビが土曜日の21時からやっていた漫画原作のドラマのような印象があって、意外な気もするけれど、世の中も知らない間にだいぶ変わっているのであろう。

この日、新たな感染確認は東京で2,000人を越え、長野でも過去最高を記録する。

恋せぬふたり

NHK夜ドラで始まった『恋せぬふたり』を観る。岸井ゆきのと高橋一生の主演に『チェリまほ』のドラマを書いた吉田恵里香の脚本ということで楽しみにしていたのだけれど、期待通りにテキパキと話が進み、いいところで第2話に続く。このヒキもよくて、来週が楽しみ過ぎる。番組サイトにはセクシャリティについての考証チームの活動も説明されていて、誠実で丁寧な仕事ぶりであるには違いなく、今やドラマ制作は公共放送を標榜するNHKの最後の良心という感じ。

東京の発熱相談は三連休に増加の一途を辿り、7日間平均で2,000人を超える。行動抑制を行うにも遅きに失するタイミングに来ているが、どうやら今回も手遅れとなりそうな気配が濃厚となっている。