CALLS

Apple TV+で『CALLS コール』を観る。電話での会話を通して超常的な現象が語られ、画面ではオーディオスペクトラムが刻々、変化する風変わりな体裁のドラマで以前、途中まで聴いていたのだけれど、全9回を最後まで。異なる時空につながってしまった電話の結果、宇宙の整合性を保つ巨大な力の作用で登場人物は恐ろしい目に遭う。

9話にかけてそれぞれのエピソードが繋がりながら宇宙の構造が明らかにされていくのだけれど、語りだけで進行するから保持できる説得力というものがあって、なかなかよく出来た会話劇になっている。オーディオスペクトラムの演出もどんどん複雑になって、見始めると思わず見入ってしまい、全て観終えて昨年の宿題を片付けたような気分になる。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

少しずつ読むつもりだった『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は上巻後半からの展開が面白過ぎて結局、年明けと同時くらいに読み終えてしまう。アンディ=ウィアーは天才であろう。『火星の人』を楽しめるひとには全力でおすすめできる内容だが、いかなる情報も入れずに読んだ方が絶対にいい。Hail Mary passがアメリカンフットボールでは試合の最後に投じる苦し紛れのパスであるということを初めて知ったのだけれど、この小説自体は極めて大きなスケールで細部まで周到に組み上げられたもので、その構想に感心しきり。

COVID-19の感染確認は全国で再び拡大に転じ、休日効果も関係なしにコンスタントに増加が積み上がる局面に来ている。すでにオミクロン株は主要都市には広がっていると考えられるが、遅行する入院者数などの顕著な増加はまだ見られない時間帯にあり、火の手と映るのは休み明けからしばらく経ってということになるだろう。

ヒルコ / 妖怪ハンター

あけましておめでとうございます。

Netflixで元旦の配信となった『ヒルコ / 妖怪ハンター』を20年ぶりに観る。2021年に劇場公開もされたリマスター版で、フィルムからレストアされた画面のクオリティは驚くほど精細で、役者の毛穴が確認できるほどである。アナログフィルムのポテンシャルを引き出した作業の手柄であろう。劇場上映はおくとして、長らく鑑賞の唯一の手立てだったSDビデオの画質とは比べるべくもなく、再見の値打ちは非常に高くて、もはや文化的価値があるというべきだろう。

沢田研二の稗田礼二郎は、妖怪ハンターというよりはゴーストバスターズのノリで、オリジナルのイメージとは全く異なるものではあったけれど、一作限りというには惜しいほどにキャラが立っていて、ついに続編ということにはならなかったのを改めて残念に思う。二匹目のドジョウを獲るならここであったはずである。