パンドラの果実

『パンドラの果実』の第1話を観る。ディーン=フジオカと岸井ゆきのが主演のサスペンスドラマで、Huluとの共同制作と銘打ってシーズン2はオンライン配信のみという例のやつ。そうした仕掛けがあるからか、制作費も通常のテレビドラマよりも微妙に奢っている感じがなくもない。Netflixで目の肥えた視聴者を相手にするのであれば、使い回しのできるコンテンツをそれなりのコストで作らなければならないということになる。

どちらかといえば森博嗣の小説みたいなキャラクター設定で、これは原作の小説がそんな感じなのであろう。しかし、「科学犯罪捜査ファイル」という副題なら『ウルトラQ』か『UNBALANCE』みたいな方向もあったのではなかろうか。

窓際のスパイ #5

『窓際のスパイ』の第5話を観る。そういえばMontereyのTVクライアントの安定性はやや改善した気がするけれど、時々、英語表示になるあたりは変わらない。エピソード5のオリジナルタイトルはFiascoで、こちらとしては『エリザベスタウン』を思い出す単語だけれど、物語の中でもそれなりに重要な意味が付与されている。話は序盤のエピソードを地味に回収しながら結末に向かう。

平行して進む荒事は2話にわたり仲間内のもめごとに終始して、このあたりの迷走ぶりはどうかと思うけれど、MI5側のストーリーはほぼクライマックスで引き続き面白い。次回、第6話で完結となるけれど、シーズン2も実現して欲しいものである。

SDカード

MacBook ProにSDカードスロットが復活したことを喜ぶユーザーは多かったようだけれど、このところカメラはiPhoneで済ませるようになっているので、筐体に空いたスロットが気になるくらいで恩恵を感じることはなかったのである。

挿入時にスロットからはみ出ないようになっているSDカードがTranscendから発売されていることは知っていたのだけれど、みればわりあい手頃な価格だったのでこれを導入してみる。空いている隙間はみっしりと埋めたいほうである。

もちろん内蔵SSDのスピードには遠く及ばないとして、300GBを超えるくらいの写真ライブラリを格納して参照しても、さほどストレスを感じない動作なので、アーカイブをここに移して運用することにする。iCloudフォトと同期したシステムライブラリはコンパクトにしておきたいので都合がいいし、機能をフル活用している雰囲気があるのにも満足している。

正直不動産

NHKドラマ10『正直不動産』の第3話を観る。実を言って山下智久が出演している作品を観た記憶もないくらいなのだが、この斜めに真っすぐなキャラクターは好きである。市原隼人が演じる桐山もクセが強く絶妙。よく考えたら『鎌倉殿の13人』をのぞくと今期のドラマはこれしか観ておらず、楽しみにしている。NHKのドラマ制作は、オーソドックスな人情劇でこそ強い。

Googleで検索すると正直不動産を名乗る不動産仲介業がまぁまぁ実在するけれど、これはドラマ通り百鬼夜行の業界であろう。

VOICEPEAK

3月に発売された文字読み上げソフトのVOICEPEAKが4月まで限定優待価格で販売されているので、つい買ってしまう。特に用途はないにもかかわらず。いや、このソフト自体はまぎれもなく優れもので、これまでの合成音声の特徴的な不自然さが最小限である上、感情表現の調整ができたりするUIも悪くない。ブロックごとに音声を変えて、感情パラメーターを変更できる。

一度にアクティベートできるクライアントはライセンスにつき1台だけれど、Windows/Mac/Linuxのクロスプラットフォームで動作して、Apple Siliconにもネイティブ対応しているのである。

出力したファイルから字幕ファイル用のsrtファイルを作成するPythonスクリプトを研究して遊ぶ。まず、もとの変換の精度が高いので後続のワークフローに楽につながる印象で感心することしきり。

男性1 > 女性1 > 男性2

インビジブル

『インビジブル』を観る。全体としてはかなり陳腐な印象で、本邦のテレビドラマなりにキビシイ感じなのだが、大野いとが出演していることだけは評価できる。柴咲コウも悪くないのだが、たとえば『MIU404』とこのドラマの間に横たわる越えがたい溝のことを考える。ううむ。

この日、ウクライナの攻撃により沈没した黒海艦隊の旗艦モスクワに聖遺物がのせられていて、もろとも海底へと沈んだというニュースを知る。船乗りが縁起を担ぐのは万国共通の傾向として、ロシア海軍の精神性は19世紀あたりから変わることなく冷戦を越えて今日に至るという事実には、人類の進歩という概念を懐疑でくるむ説得力があって、この戦争も長くなりそうだと思わざるを得ない。

ロシア産の木材の供給停止により、もともとウッドショックと呼ばれるほど高騰していた木材相場は追い討ちにあっているという話だけれど、より影響の大きいエネルギー価格の高騰は夏場を過ぎたあたりで臨界に向かうのではないだろうか。どう考えても、この先に待っているのはスタグフレーションや大不況のシナリオなのだが、その準備があるのはもちろん稀で、ほとんど自由落下ということになるのではなかろうか。

鎌倉殿の13人 #15

『鎌倉殿の13人』を引き続き観ている。新垣結衣演じる八重の出番は序盤だけかと勝手に思っていたのだけれど、北条時政の娘でない方の阿波局が八重であったという説をとった展開になっていて早くも北条泰時の誕生である。我ながら勘の悪いことだが、ガッキーは堂々の仕事ぶりでやはり素晴らしい。自分の中では何故か小栗旬が好感のもてる奴になっている。

そして物語は上総広常謀殺の段となり、このヤマ場は『真田丸』での室賀正武の殺害にも通じる後味の悪さで、その数段、上を行っている。善児がチラリと登場しただけで、目を覆いたくなるようなことになることを予感させる巧みさは、大河ドラマというフォーマットを知り尽くした脚本家の偉業といっていい。手習いのエピソードが、鎧から見つかった願文の話につながるとは。そして、これまで愉快な仲間たちという雰囲気で鎌倉殿を盛り上げてきた面々だけれど、歴史を紐解けば多くが非業に斃れることになるのである。