ズーム 見えない参加者

『ズーム 見えない参加者』を観る。COVID-19によるロックダウンのさなか、Zoomで交霊会を行うことにした5人の女性が、悪巫山戯が過ぎて何ものかを呼び出してしまう。画面の中で次々と怪異が起きる趣向は、今やあまりめずらしくないけれど、回線品質の悪さとフィルターエフェクトをうまく使った演出はそれなりに手が込んでいるし、Zoomフリー版のタイムリミットにあわせて速やかに終了するコンパクトな印象も悪くない。おまけのように、メイキングの体裁のフッテージがついているのだけれど、これはあまり必要のない小細工というものではないだろうか。

この数日、Logseqというアプリを使っている。Personal Knowledge Managementの用途では以前、Roam Researchを使っていたことがあるのだけれど、Safariではうまく動かないサーバーサービスである以上に、過去に削除したデータベースと同じ名称のデータベースを作るとデータが復活するという仕様なのかバグなのかわからない動作があって遠ざかっていたのである。グラフビューの機能を持つエディタとしてはObsidianにも手を出したことがあるけれど、LogseqはずっとRoam Researchに近く、アウトラインのUIはWorkflowyにインスパイアされていることを公言しているだけあって軽快でシンプルな動作であり、何だか生産性さえ上がるような気がする。

PDFファイルをアップロードすると直接、マーカーを引いてブロックリファレンスで引用できる機能が秀逸で、サーバーアプリでは実現が難しいあたりは戦略的でもあって、ちょっと感心している。来るべきLogseq Proでは課金も予定されているとして、現在は無料というのもRoam Researchの行く末が心配になるほどで、例によってしばらく使ってみるつもり。

鳩の撃退法

『鳩の撃退法』を観る。佐藤正午の小説を原作とした映像化だけれど、藤原竜也が主人公の津田伸一を演じているというだけでサスペンスの濃度が高くなっている気がしなくもない。このキャスティングがどのようになされたのかという点に興味がある。そもそも、どうして映画にしようと思い立ったのであろうか。2時間の尺への圧縮はそれなりに成立しているとしても、どんでん返しみたいな話として扱うのは、やはりちょっと違うと思うのである。いいけど。

この日、ロシアがモルドバへの侵攻を試みようとしているとの情報が伝えられる。時間軸では5月9日近くをターゲットとして、プーチンによる戦争の宣言とともにこうした動きが起きるという観測には説得力がある。ウクライナの兵力を分散させることができる以上に、スケールの拡大は西側にとっても避けたいシナリオであるがゆえ。しかし、その意図が見え透いている以上は事態の一層の混迷と過激化しかもたらさないのではなかろうか。

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を観る。2016年に同じくマーゴット=ロビーがハーレイ・クインを演じたデヴィッド=エアー監督版『スーサイド・スクワッド』のジェームズ=ガンによる容赦のない「やり直し」とみえて、いったん集結したスクワッドが上陸作戦のドタバタで全滅する開巻15分には笑う。生き残ったのはフラッグ大佐とハーレイだけという作品的暗喩から出発して、ドラマツルギーの常道を敢えて外してくる脚本が面白いのだけれど、 R15+にしてもかなり張り切った描写で派手なアクションが続き、さすがジェームズ=ガンと感心する。

しかし、たかだか数年前に大々的に売り出した前作を敢えて否定する企画でいこうというDCもひょっとしたら定見がないし、ここまでコケにするジェームズ=ガンも敵が多そうで、全員悪党を地で行く雰囲気の制作の裏側こそ興味深い。サメ人間のナナウエのCVにシルヴェスター=スタローンを当ててくるキャスティングにも悪意を感じてしまうから、正しい意図を明らかにするというのは大事なのである。