Netflixで配信の始まった『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を観る。このところ韓国ドラマから遠ざかっていたのだけれど、『ムーヴ・トゥ・ヘヴン』と同じく自閉症スペクトラムという設定の主人公を据えた本作はそのこと自体に賛否が生じそうだとして、法廷ものとしてもなかなか良くできたドラマとなっており面白い。主人公のウ=ヨンウを演じるパク=ウンビンの仕事ぶりも悪くなく、ただそれだけで観られる感じ。まず、何かと分かりやすい演出なのである。
この日、2022年の折り返し。いやはや。
Netflixで配信の始まった『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を観る。このところ韓国ドラマから遠ざかっていたのだけれど、『ムーヴ・トゥ・ヘヴン』と同じく自閉症スペクトラムという設定の主人公を据えた本作はそのこと自体に賛否が生じそうだとして、法廷ものとしてもなかなか良くできたドラマとなっており面白い。主人公のウ=ヨンウを演じるパク=ウンビンの仕事ぶりも悪くなく、ただそれだけで観られる感じ。まず、何かと分かりやすい演出なのである。
この日、2022年の折り返し。いやはや。
ウクライナが東部でロシア軍に苦戦していることを伝えるThe New York Timesの記事には、戦場に着くなりライフルを渡された100名の歩兵中隊が1日で30名の戦死者を出しているという衝撃的な内容があって、基礎的な戦術遂行能力と通信連携の不足、そもそも作戦の欠如を、本土防衛に向けた戦意で補ってしまうあたりが、スヴェトラーナ=アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』に書かれた往時のソ連軍の様子を想起させ辛い。あの本には、戦争がどういうものかも知らず、闇雲に前線へ向かおうとした若年女性の証言が幾つも載せられているが、ウクライナの大地で攻守を逆にして、これが再現されている気がしてならない。
そして、フランスのマクロン大統領がこの戦争が数ヶ月で終わるとは思わないと述べたというニュースが流れる。第2次世界大戦では火力優勢のドイツに対してソビエト連邦の犠牲者は2,600万人を上回ったが、ナチスドイツの打倒という戦争目標の達成なしに戦争の終結をみることがなかったことを考えると、膠着が最善手に見える現状の先行きはもちろん誰にも見通すことができない。
いつの頃からか企業間の協業を共創と呼ぶことが定着して、その定義は曖昧なままだからある種のジャーゴンと理解している。通商白書の2022年版が発行されたが、ここで重視されているのはアジア圏でのスタートアップとの連携で、欧米・中国の規模を遠く見上げて、どうやら中国を除くアジア圏に居場所を定めようということらしい。これをアジアとの共創というのだが、どうしたって大東亜共栄圏を想起せざるを得ない。デジタルでこれを束ねる器量が本邦にあるとは、とても思えないのだが。
この日も気温は上がり、来るべき夏の試練だけでなく、この先ほとんど恒久的に灼熱と極寒を行き来する気候変動の取り返しのつかなさと、それがもたらす恐るべき影響を予感させる。変動の振り子は大きく振れることで人類のみならずあらゆる生物種の生存環境を脅かすだろう。
そしてこの日、夜になってひんやりとした空気が通るように開け放した窓の脇を、ささやかな明かり灯して蛍が飛ぶ。家の近くを農業用の水路が通っているのだけれど、これまでは頻繁に蛍をみるという感じでもなかったので、この度はいろんな条件が重なったということだろう。庭先に数匹は生息しているようである。
それが許容できる変化の幅にとどまれば、生命は自らその道を探す。大きすぎる変化は多様性の一部ともいえる脆弱性を薙ぎ倒してしまうところに問題の本質はあって、温暖化のペースを抑え込むことが重要なのはこの一点にかかっている。
『シンクロニック』を観る。ニューオリンズを舞台にしたある種のタイムトラベルものだが、シンクロニックと呼ばれる合成麻薬を服用することで時間を遡ることができるという、ちょっと斬新な人間原理にもとづいてことがすすむので、わかったようなわからないような話が展開する。カルロ=ロヴェッリの『時間は存在しない』を思い出したけれど、あの本だってもちろんこういうことを言っているわけではないと思うのである。冒頭からサイケデリックな雰囲気でそれなりに複雑な展開の物語を、そこそこわかりやすく見せているところは評価できる。
『鎌倉殿の13人』は第25話、年の折り返しで源頼朝が退場する。大河ドラマはこの数年、全50話に届かず、前年の『青天を衝け』に至っては41話という忙しさだったけれど、この様子では後半もじっくり描いてくれるのではなかろうか。
それはそうと、来年の『どうする家康』の脚本が古沢良太だということを最近知って、これはこれでちょっと楽しみになっている。
『夏への扉』を観る。ハインラインの小説の本邦での映画化。山﨑賢人を主人公、清原果耶をヒロインとして日本に舞台を移した翻案。監督は三木孝浩で、ハードルの高い映像化ではあるけれど、設定にはコールドスリープやタイムトラベルの違和感を和らげる工夫があって案外、悪くない。1950年代SF小説的な人物像の奥行きまで再現されているようだけれど、物語がそうなのであって、映画の責任ではないだろう。
夏といえばこの日、6月だというのに群馬県の伊勢崎では40度を越える暑さとなり各所で猛暑日を記録する。じき、梅雨明けという話もあるのだが、当地では夜に豪雨が襲来することもたびたびで、これがピークでないなら8月には一体どういうことになるのか。
この週、アメリカでは銃規制と政教分離を違憲とする判断に続き、中絶の権利が違憲とされる。自由と民主主義の学校である米国であればこそ、50年かけて積み上げたものさえ、簡単に失われてしまうということを教えている。これはトランプの置き土産ではあるけれど、それだけではない。そして決定的な変化はある種の相転移として起きるので、それを悔やんでいる時間さえないのである。むろんのこと、これは海の向こうの話というばかりではない。
そしてこの日、小田嶋隆氏の訃報が届く。