カーテン

『鎌倉殿の13人』第36回を観る。あらかじめ予告された畠山重忠の乱は予想外の肉弾戦という展開で武士の誇りと無念を描き、事態の収拾に向けて北条時政退場の筋書きが用意される。演じる坂東彌十郎の出番もあとわずかと思えば残念だけれど、今年ももう10月なのである。

優れた作品はもちろん時代を映すものだけれど、鎌倉の混迷に「政を正しく導くことが出来ぬものが上に立つ。あってはならないことです」という義時の台詞は、もちろん今の世と共鳴させようという脚本家の企みだろう。いつであっても、何のための政治かという問いが全てである。

そして本作で北条義時を駆動しているのは、三郎兄のいう「坂東武者の世」をつくるというビジョンであり、物語は承久の乱に向かって、ついには朝廷を下す顛末が描かれることになる。脚本家は最近、最終回の脚本を書き上げたということだけれど、結末はアガサ=クリスティの作品に着想を得たそうである。予想するに、それは『カーテン』ということになるのではないだろうか。征夷大将軍となって坂東武者と利害が衝突するようになった源頼朝を密かに殺めたのは、やはり義時だったということが明らかになる。その真相に辿り着くのは三浦平六ということになるだろう。そして13人目のユダは小四郎その人ということになるのではなかろうか。