不穏 この日、ロシアでは「部分動員」が発令され、またひとつタガが外れる。予想されたシナリオのなかでは穏当な選択だとして、その分岐の果て、際限なく代償の大きなカードがきられていくのがエスカレーションというものであろう。「部分」ではありながら、ほぼ総動員に近い定義が可能というのが、戦争というほかない「特別軍事作戦」を展開している彼の国の言語感覚である。まず、30万人が動員されるという。そして国内のいくつかの都市で反戦デモが起き、状況に対する内外での圧力は高まっていく。