急落

この日も株式市場の大幅な下落が続く。金融市場がわずかでも先を見通すというのであれば、どうしたって厄介なことになるに違いないのである。日本の金融当局によるさきの為替介入は、どうやら速やかになかったこととなって、当局者は無力を痛感し、それ以上に心細く思っていることだろう。直近のポンドの急変を不吉なサインと捉えるのはブラックマンデーの記憶をもつベテランということになるが、まさにそれゆえ、自己実現的に市場は動揺することになるだろう。この局面での質への逃避は、ドルと資源に向かい、さらなる高騰をもたらすのではなかろうか。

同日、イタリアでムッソリーニ以来の極右政権が誕生し、事態は混迷を深める。

台風による断水の影響は広範に及び、復旧の目処も未だしというこの日、ニュースの冒頭は「弔問外交」である。ことがこれほど拗れていなくとも、主要な関心ごととして焦点をあてるような話ではないはずだ。『ビルマ 絶望の戦場』で引用されていたがごとく、我が国の政治の根本的な欠陥は過ちを認める道徳的勇気の欠如であろう。その上塗りにほとんど積極的に加担しているメディアも同罪というほか言葉がない。メディアと報道の独立性に問題があるとされる国では、こういう景色をみる羽目になるということだ。