この日、プーチンはウクライナ4州の併合を宣言する。好むと好まざるにかかわらず、歴史はこのことを記憶するだろう。G7はこれを「もっとも強い言葉で」非難し、プーチンはウクライナの頭越しに欧米への呪詛を演説する。政権移行から間もない英国は、オウンゴールともみえる経済金融政策の稚拙で失速し、同盟の失態の穴を埋めるように米国の統合作戦司令部がドイツに進駐する予定であることが伝えられる。
ノルドストリームでのガス漏れは短期的に事態が沈静化するのではないかという楽観派の希望の芽を摘み、この冬のエネルギー価格の高騰を決定的にする。もとからほとんど100%であったリセッションの確率は、これを回避し得るシナリオを織り込む余地をほとんど失ったとみえる。よくならないという理由ゆえに悪化は続く。
ウクライナはNATOへの迅速加盟を正式に申請し、互いが設定したレッドラインを踏み越えた時間帯に世界はある。後世の歴史家が第3次世界大戦の始まりを記述するとすれば、このあたりになる可能性もある。